旧帝大や早慶など有名大学の「エリート就活生」が志望する、「推し」の就職先はどこか気にならないだろうか。また、彼らは企業に何を求めて就職活動をするのだろうか?結論からいうと「一推し」は三菱商事であり、そのあとは伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅と商社が続く。この記事では、いわゆる最上位校の「最推し」業界や企業について、魅力や学生の傾向を分析しよう。

■最上位12大学の志望企業上位は……

高学歴で有名な12大学(※)の志望企業上位TOP3は総合商社の3社だった。

1位:三菱商事
2位:伊藤忠商事
2位:三井物産(上に同位)

※12大学:旧帝大(北海道大・東北大・東京大・名古屋大・京都大・大阪大・九州大)、慶應義塾大、早稲田大、一橋大、東京工業大、神戸大

1〜20位のランキングは以下の通り。

順位(昨年) 企業名 業界
1位(1位) 三菱商事 総合商社
2位(3位) 伊藤忠商事 総合商社
3位(2位) 三井物産 総合商社
4位(4位) 住友商事 総合商社
5位(7位) 丸紅 総合商社
6位(5位) 野村総合研究所 システム・ソフトウエア
7位(6位) 三井住友銀行 銀行
8位(8位) 三菱UFJ銀行 銀行
9位(11位) サントリーホールディングス 飲料
10位(19位) アクセンチュア コンサルティング
11位(13位) NTTデータ システム・ソフトウエア
12位(17位) ソニーグループ 総合電機
13位(12位) 楽天グループ インターネットサイト運営
14位(27位) みずほフィナンシャルグループ 銀行
14位(29位) PwCコンサルティング コンサルティング
16位(10位) 旭化成 化学・化粧品
17位(14位) JR東海 陸運
18位(25位) 双日 総合商社
19位(31位) 農林中央金庫 銀行
20位(16位) 日本政策投資銀行 銀行

出典: (ジャンル区分は「日経会社情報」 による)釈
2023年、リーディングマーク調べ
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■人気の業界は?各分野のランクイン企業も

上位ランキングを業界ごとに見てみる。上記の他にはどのような企業が入っているのだろうか。

●商社、メガバンクが根強い人気

今回の調査では、トップ5はすべて商社であった。発表されている100位以内には、他にも双日(18位)や豊田通商(23位)がランクインした。メガバンクでは三井住友銀行が7位、三菱UFJ銀行が8位、みずほフィナンシャルグループが14位だった。

大学別(東京大・京都大・早稲田大・慶応大)の志望ランキングでも、いずれも三菱商事と三井物産、伊藤忠商事が3位以内に入っている。

●順位上昇のIT、通信企業

楽天やNTTデータは以前から人気企業だが、今回も上位にランクインしている。他に、NTTドコモ(29位)、KDDI(47位)、日本マイクロソフト (71位)、日鉄ソリューションズ(76位)など、今後も業績拡大が見込まれる分野として多くの企業がランクインした。

●コンサル、不動産も志望者多数

アクセンチュア(10位)、PwCコンサルティング(14位)、ボストン コンサルティング グループ(22位)、デロイトトーマツ コンサルティング(24位)、マッキンゼー・アンド・カンパニー(32位)、アビームコンサルティング(34位)などのコンサル企業も前回より大幅に順位を上げている。三菱地所(26位)、三井不動産(29位)、東急不動産(79位)、森ビル(83位)など不動産デベロッパーも人気だ。

■「将来のキャリア」を重視、内定・入社はゴールではない

エリート学生が会社を選ぶときに最も重視するのは、「将来のキャリア」であることがわかった。学生が重視することのトップ3は以下のとおり。

● 将来的な高所得の見通し(報酬と昇進の機会)
● 企業の強い社会的責任感(企業の評判とイメージ)
● チャレンジ性のある仕事(仕事の特性)
※企業の魅力要因

一言でまとめると「十分な給与が受け取れ、かつ、専門性の高い仕事を続けていけること」を重視しているといったところだろうか。そう考えると、総合商社や銀行、シンクタンクやコンサルティングが上位に食い込むのは何となく納得がいく。逆に、あまり見られなかった傾向が「グローバル志向」である。調査対象となった学生は大学生活の大半をコロナ禍で過ごしてきたため、そもそも海外に行く機会がほとんどなく、興味を持てなかったとしても不思議ではないだろう。コロナ禍を脱したからこそ、今後はどのように傾向が変わるのか注視したいところだ。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。