老後の生活を支える年金を増やすにはどうすればいいだろうか?ここでは、最大で200万円近く年金が増える裏ワザを7つ紹介する。

■裏ワザ1:【20年間で198万円】60歳以上での国民年金への任意加入

60歳から65歳までの5年間、国民年金への任意加入で保険料を支払ったなら、年金受給額は年間約9万9,000円、65歳から85歳の20年間分で198万円増えることになる。

通常、国民年金保険料は60歳になると納付の必要はない。しかし、国民年金に「任意加入」することで、年金を増やせる。

特に、保険料の納付期間が40年未満であるために満額受給できない人は、60歳以上65歳未満の間であれば、もらえる年金を増やすために「任意加入」という形で国民年金の保険料を支払うことが可能だ。
※2023年の年金受給額水準の場合

■裏ワザ2:【MAX84%増額】年金受給の繰り下げ

年金受給の繰り下げにより、1ヵ月で0.7%年金受給額がアップする。通常65歳からの受給となるが、70歳まで繰り下げると42%、75歳まで繰り下げると84%増額される。

老齢基礎年金・老齢厚生年金は通常65歳からの受給となるが、66〜75歳のいずれかの時期まで繰り下げて受給開始することも可能だ。

しかしもし受給開始年齢前に病気や事故で亡くなった場合、繰り下げ受給を行うとかえって損する恐れもある点に注意してほしい。

■裏ワザ3:【月8万増額】個人年金保険の加入

個人年金保険に加入することで上乗せできる年金は、平均で月8万円程度だ。

個人年金保険とは生命保険会社の商品の1つで、払い込んだ保険料を原資に、契約時に定めた年齢になると年金を受け取れるという商品だ。保険料は「個人年金保険料控除」の対象となるため、節税にもつながる。

ただし、支払った保険料に対する上乗せ率(満期返戻率)は個々の商品によって異なるため、損しないかを慎重に見極めて欲しい。
※生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」

■裏ワザ4:【年8万増額】60歳以降も働いて厚生年金加入期間を延長する

60歳から65歳まで年収300万円で働いて厚生年金に加入していた場合、60歳以降働かなかった場合と比べて、年約8.2万円年金が増える。

フルタイムではなく、アルバイト・パートタイムの形であれ、60歳以降も厚生年金が適用される会社で働く場合、所定の条件を満たせば厚生年金に加入できる。

ただし、働きながら年金を受給する場合「報酬の月額」と「年金の月額」とを合算し、合計が50万円を超える場合はその超えた分の金額が、老齢厚生年金の受給額から減らされるので注意して欲しい。
※在職老齢年金制度

■裏ワザ5:【年4万円増額】免除・納付猶予期間分の国民年金保険料の追納

年収500万円の方が「猶予」や「免除」された年金保険料2年分を追納すると、老後の年金が4万円(年額)増え、今の税金が約12万円減る。

国民年金保険料の免除や納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間があると、年金は満額受給できないが、後から追納すると将来の年金受給額を増やせる。そのうえ、追納分には社会保険料控除が適用されるので所得税と住民税を軽減することが可能だ。

■裏ワザ6:【30年間で137万円】国民年金基金への加入

国民年金基金で毎月約1万4,000円掛けた場合、30年間(60〜90歳と仮定)で約137万円年金が増える。

国民年金基金は、20歳以上60歳未満の国民年金加入者が上乗せして入ることのできる公的年金制度だ。加入することで将来の年金受取額が増えるうえに、

掛け金は全額、社会保険料控除の対象であるため、確定申告することで税金が軽減される。増える年金額は毎月の掛金額による。

受け取る年金も公的年金等控除の対象となる。加入形態によって毎月の掛け金や増やせる年金額は異なるので、国民年金基金の公式サイトのシミュレーターを使って確認してみて欲しい。
※A型で月1口、年収500万円、45歳から加入と仮定

■裏ワザ7:付加年金の納付

「付加年金」を利用して月400円を10年間(120月)納付した場合、年金は年2万4,000円増やせる。

20歳以上60歳未満の国民年金加入者は通常の保険料に月額400円の「付加保険料」をプラスして納付すると、年金受給時に年額で「付加保険料を納めた月数」に200円を乗じた額の付加年金が加算されるのだ。

ただし、国民年金保険料の納付の免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人など一定の条件に当てはまる人は付加年金に加入できないので注意して欲しい。

■年金を増やす方法には経済的な負担も

年金を増やすには、(受給繰り下げを除き)いずれも掛け金を支払う必要がある。相応の経済的負担はあるので、無理のない納付計画を立てよう。また、受給繰り下げでは、年金を受け取っていない間の生活費や緊急時の出費に対応できるかが鍵となるので、事前によく検討しておいたほうがよい。

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文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。