【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセ
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先日、幕張メッセで開催された『hololive SUPER EXPO 2023』『hololive 4th fes. Our Bright Parade』(3月18日・19日)の熱気は凄まじいものがあった。近年、エンタメ界を席巻するVTuber(バーチャルYouTuber)のなかでも、業界トップの存在としてその認知と人気が世界的に拡大しているのが「ホロライブ」だ。

今や、若者を中心に“推しのVTuberの1人や2人、答えられて当然”という世の中になりつつあり、トレンドに敏感な界隈でアイドルVTuberの筆頭格・ホロライブを知らない者は、もはやモグリと言っても過言ではない。

アイドルVTuberを推す活動=「推し活」の最前線

そこで、人々がどのように「推し活」を楽しんでいるのかを知るべく、『hololive SUPER EXPO 2023』『hololive 4th fes. Our Bright Parade』が開催された当日、現場の幕張メッセに取材班がお邪魔した。ホロライブにハマったきっかけは? 持ち物は? ……そんな、現代の「推し活」の最前線をレポートする。
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ホロライブって何?

その前に、知らない人のために念のためおさらいしておこう。ホロライブとは、ホロライブプロダクションに所属するアイドルVTuberグループのこと。おもにYouTubeでの動画・ライブ配信を中心に活動している。ときのそらをはじめ、0期生〜6期生までの女性アイドルVTuberからなる「ホロライブ」、海外で活躍する「ホロライブインドネシア」と「ホロライブEnglish」、男性グループ「ホロスターズ」を含め、所属タレントは総勢75名。全タレントのYouTube合計チャンネル登録者数は、なんと7000万人を超える。

今年2月、東京都はホロライブのVTuber3名を「東京観光大使」に任命した。さらに、運営母体であるカバー株式会社が東証グロースに上場する(2023年3月27日)など、話題に事欠かない。

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DAY 1のオープニングセレモニーの様子。登壇したカバー株式会社CEOの谷郷元昭氏(写真中央・愛称:YAGOO)に対し大歓声が上がった。社長人気の高さもホロライブの特徴だ。

ホロライブのファンを現地で直撃!

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まず目に留まったのは、20代の男女カップル……かと思いきや実は姉弟。高校3年生の弟さんがホロライブにハマり、20代の姉がそれにつられたそう。推し歴は1年ほど。側面がクリアなトートバッグに缶バッジなどをビッシリと詰めるのは定番のスタイルで、通称「痛バ(痛いバッグ)」「推しバ(推しバッグ)」などと呼ばれる。

車体をアニメやゲームのキャラやロゴで装飾したクルマを「痛車(いたしゃ)」と呼ぶが、「痛バ(いたば)」とはまさにその世界に通ずる。ファンは自嘲や揶揄ではなく、敬意を込めてそう呼ぶのだ。

【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセこちらはお姉さんの「痛バ」。推しは3期生・白銀ノエルで、周年記念グッズをリボン風にアレンジし個性を出していた。

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会場でひと際目立っていた推し歴1年半の「ねっ子(5期生・桃鈴ねねファン)」。全身を推しのテーマカラーであるオレンジ色で統一したのは、今回が初めてだとか。ねねち(桃鈴ねねの愛称)の魅力は「いつも元気が溢れていて、裏ではすごく努力している。その部分を普段は見せないで、ライブでその成果を存分に発揮する姿が素敵です」。

定番アイテムは“痛いバッグ”! 通称「痛バ」

会場の外廊下で大量の「痛バ」を並べて休憩している10名ほどの集団に遭遇。20代の会社員を中心に、ホロライブの推し活を通じて広がった仲間だそう。ハマったきっかけは、先輩や友人からのオススメと答える人が多かった。今回のイベントのテーマは「#ひろがるホロライブ」であったが、まさにファンの輪はそのようにして広がっているのだ。

【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセ
持参した「痛バ」の元となるトートバッグは、WEGOなどレディースのショップで購入するのだという。どうりでデザインがレディースっぽいはずだ。もともと数年前までは男性アイドルグループの女性ファンたちの間で広まっていたスタイルで、いつしかそれがいわゆるオタク層にまで浸透し、現在の文化が築かれたようだ。特筆すべきは、1人が複数個持参していたことと、見事なまでの“推し被り”なし。同担(同じ推しを担当する)NGというわけではないが、自然とバラけたというから興味深い。

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リーダーの男性は、「星詠み(0期生・星街すいせいファン)」歴2〜3年。「仕事やプライベートで嫌なことがあっても歌を聴いて元気になれる。日々の配信を心待ちにしていて、人生の楽しみが増えました」。

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「痛バ」グループの座員(5期生・尾丸ポルカファン)。会場には本格的なコスプレイヤーの姿も多数あったが、一般のファンはこのように推しの公式グッズの法被やパーカーを着ている人が多かった。

コロナ禍の時期に失いかけた活力を取り戻すがごとく……

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40代・会社員、白衣姿の「助手くん(6期生・博衣こよりファン)」と「かざま隊(6期生・風真いろはファン)」の男性2人組。先にハマった隊士が「推すなら今やぞ」と助手くんを誘った。お互い推し歴1年ほど。助手くん「毎日休まず配信する姿に胸を打たれた」。「痛バ」と並び、アクリル製グッズやぬいぐるみも定番だ。

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かざま隊隊士「自分は“赤スパ(1万円以上の投げ銭)”を投げることもしばしば……」。この法被はファンの有志が作ったもの。もともと刀持ちのキャラクターが好きだとのことで、風真いろはのビジュアルに一目でやられたそう。

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別の30代会社員・男性。「わためいと(4期生・角巻わためファン)」で推し歴は約2年。コロナ禍で在宅時間が増えた時期に、YouTubeの配信を見て「一所懸命だったり、涙もろかったり、武道館を目指してひたむきに頑張っているところ」にハマったとか。「頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうと思えるんです」。記念配信などにはスパチャもするが、「推し活」について自身のパートナーには明かしていないという。

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「わためいと」と同じ職場の40代男性。「みこめっと(0期生・さくらみこ&星街すいせい)」推しであり、「デッドビーツ(ホロライブEnglish・森カリオペファン)」でもある。「すいせいさんの歌に影響されて、自分も歌が上手くなりたいと思い、ボイトレに通い始めたんです。歌は完全に趣味で、今練習しているのが『Stellar Stellar』」。森カリオペのTシャツとドリンクの前にさくらみこの人形を置いてパシャリ。ぬいぐるみや人形を主人公のようにしてスマホで撮影する「ぬい撮り」は、数年前からSNSで流行中。

【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセ
30代の兄が新潟、20代の弟が東京に勤務。コロナ禍で自由に行き来できない時期に、久しぶりに連絡を取り合ったら偶然同じ時期に兄弟そろってホロライブのファンになっていたという。兄は「35P(みこぴー・さくらみこファン)」のパーカーに、PP天使(4期生・天音かなた)のTシャツ。「35P」ぬいぐるみを自宅から連れ出し、兄弟で来場。

【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセ
20代の弟さん曰く「あくたん(2期生・湊あくあ)最推しなのですが、今日のファッションのコンセプトはフレア(3期生・不知火フレア)です」。ダンスが趣味で、YouTubeで歌を聴いて「いいな」と思った歌を調べたらホロライブの楽曲だったことが、ハマったきっかけ。「あくたん推しのきっかけは、『凸待ち0人』の配信です。あれを見て応援したいと思いました」。コロナ禍で一時、鬱気味だった頃、ホロライブメンバーの配信によって力を貰い、助けられたという。

「痛車」や女性ファンの間にも浸透するホロライブ

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こちらの30代・男性は趣味で「痛車」のデザイン・施工をやられているそう。「雪民(5期生・雪花ラミィファン)歴は約2年半です。デビュー配信を見て、リン☆ユウ先生によるデザインと清楚な雰囲気、キャラクターにハマりました」。最近はデビュー時の清楚さよりも面白さが勝ってきているが、そういう部分も含めて魅力とのこと。「SSRB(5期生・獅白ぼたんファン)」の帽子にラミィの髪飾りを付けるとはナイスなアイデア!

【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセ
ご自身が施工したラミィの「痛車」。「お台場痛車天国2023」(3月26日)にも展示予定とか。アニメやゲームのキャラが多かった「痛車」の世界でも近年ホロライブのモチーフは増えているそうだ。

【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセ
会場の女性ファンは、自作のうちわを持つ率が高かった。こちらは20代会社員・女性「スバ友(2期生・大空スバルファン)」歴約2年。「配信を見て面白いと思っていたら、ライブでめちゃめちゃ正統派なアイドルをしていて、そのギャップにハマりました」。ゲーム実況も面白く、どんどん好きになったという。「スバルちゃんにハマったことで、推しの絵を描きたいという熱が高まり、趣味でイラストを本格的に描くようになりました」。周年記念や生誕記念の配信には“赤スパ”を投げることもあるのだそう。

【ホロライブ】あなたの“痛バ”を見せて!ハマった理由は?「推し活」持ち物レポートin 幕張メッセ
「スバ友」の友人の会社員・女性。白銀聖騎士団団員(3期生・白銀ノエルファン)歴2年弱。ホロライブは「スバ友」の友人のススメで知った。「初めてノエルの配信を見たとき、声がすごく聴きやすくて、雑談とかもずっと聴いていられたんです。その後、『歌枠』で歌っているのを聴いたら、すごく独創的で面白くて。そこからどんどんハマっていきました」。

もはや配信は生活に欠かせないという。「自分が仕事で疲れて帰ったときとかに、ノエルはいつも配信していて、いつ見ても優しくて、団員さんたちの雰囲気も温かくて、それを見て心が休まるというか……安心できるんです」。

会場は男性ファンが多数だったものの、「以前よりも女性ファンが増えていると感じる」そう。自作のうちわは製作費1個200円ほどで、「スバ友」の友人の分も作ったのだとか。

【今回のまとめ】

持ち物としては「痛バ」、ぬいぐるみ、アクリル製品あたりが定番だった。そして、多くのファンが口をそろえて「ホロライブのVTuberの配信によって、日々、元気や活力を得ている」と語るのが印象的だった。ひょっとしたら、ホロライブとは、疲弊した現代人の心を癒やし、肉体を潤す、巨大な装置なのかもしれない。

取材・文/Shindo Takuma 撮影(オープニング・持ち物)/池田 宏