コロナ禍で販売に苦戦を強いられた自動車メーカー各社の2020年。しかし、フェラーリだけは違っていた。2019年比で順調に日本市場での販売を伸ばしている。好調要因はどこにあったのだろうか。フェラーリ・ジャパンのパストレッリ社長に訊いてみた。(インタビュアーはMotor Magazine編集長 千葉知充/Motor Magazine2021年6月号より)

様々なシナリオに対応できるよう常に準備を怠りません

千葉 2020年から赴任されていますが、日本の印象を教えてください。

パストレッリ社長 日本へは高い期待を持っていました。この日本の素晴らしい文化の一部になれるような生活をしていきたいとも感じていました。コロナ禍で日本のすべてを楽しめる状態ではありませんが、これから時間もありますのでもっと日本を知りたいですね。いろいろな所にも行きたいし、文化や伝統にも触れたいと思っています。

千葉 日本市場をどう見ていますか。

パストレッリ社長 とても興味深い市場です。フェラーリにおいては、トップ市場です。 2020年もこの日本市場は対前年比で大きく伸びていますし、大きな可能性も感じています。今後は、新しいお客様、とくに若いユーザー層にも広げていきたいと思っています。

千葉 それには何が必要ですか。

パストレッリ社長 今、いろいろなプロジェクトを検討しています。フェラーリの既存のお客様ではない人へのコミュニケーションも考えています。フェラーリのイメージとして、運転が難しいとか、ちょっと怖いという印象を持たれているかもしれませんが、我々はいろんなレンジのモデルを用意してお客様に合わせて選んでいただけるようになっています。

安全に運転できて、素晴らしいエモーショナルも感じていただけます。フェラーリは、多くのみなさんのライフスタイルに、フィットするモデルがあるということをコミュニケーションしていきたいですね。

千葉 2020年はコロナ禍で各社苦戦しましたが、フェラーリは驚くべき販売実績を記録しています。好調の要因はどこにあるのでしょうか。

パストレッリ社長 コロナ禍で難しさは感じていました。緊急事態宣言もあり、あまりお客さまとお会いできなかったのですが、そうした中でも我々の強みは柔軟な形で短期的にマーケティングコミュニケーションの計画を変えることができたことだと思います。

デジタルキャンペーンを推し進めたり、ローマの発表時もSNSを活用してお客さまとの接点を失わないようにしてきました。お客さまが一堂に会することができないので、イベント回数を増やして少人数で開催したり、デジタルで頻繁に繋がることでお客さまの喜びを失わないようにしてきました。そして2021年も引き続き柔軟な形で対応していきたいと考えています。

こうしたアプローチは必須です。つまり、これからどのようなことが起きてもいいように様々なシナリオを準備し、マーケティングコミュニケーション計画も深淵に行いつつ、状況によって柔軟に対応するのが重要なのです。

千葉 ユーザー層は広がりましたか。

パストレッリ社長 新しいユーザーと接点を持つことは重要です。自分のライフスタイルにフェラーリがフィットするということを理解いただけていないところもありますので、そこはしっかりコミュニケーションしていきたいと思います。一方で既存のフェラーリのお客さま、コレクターのみなさまを忘れてはいません。とても大切なお客さまです。

千葉 PHEVのSF90スパイダーを発表しましたが、2021年はどのようなモデルが日本へ導入されますか。

パストレッリ社長 数年前からフェラーリは、今後こういうものを提供していきます、という計画を発表し、革新的な製品を市場にお届けしています。今回もそれに合わせた形で新しいレンジを導入、この東京に素晴らしいSF90スパイダーが来ました。またすでに発表しているSF90ストラダーレには、素晴らしいというフィードバックをいただき、期待以上のポジティブな声をいただいています。

(写真:井上雅行)