直木賞作家の佐木隆三による小説「身分帳」を原案に、『永い言い訳』(16)の西川美和監督が徹底した取材で脚本と映画化に挑んだ『すばらしき世界』(2月11日公開)。このたび、本作で人生の大半を刑務所で過ごした主人公を追う敏腕テレビプロデューサーの吉澤を演じた長澤まさみがナレーションを務めたスポット映像が解禁された。

数々のオリジナル脚本を手掛けてきた西川監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに描く本作。主人公の三上を西川監督自身、長年憧れの存在であったという役所広司が、また長澤とともに三上を取材するテレビマンの津乃田を仲野太賀が演じ、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする元殺人犯と彼を追う若きテレビマンのカメラを通して“社会と人間”のいまをえぐりだす。

スポット映像は「ドラマ編」と「問題作編」の2種類。長澤がナレーションを担当した「ドラマ編」では、吉澤の今の社会を映し出す印象的なセリフから始まり、13年ぶりに出所した元殺人犯の三上が社会で新たな一歩を踏みだす姿が映しだされる。最後には「一度人生のレールを外れた男が見た世界とはー?」と長澤の声が問いかけ、観る者の胸に迫る映像となっている。また「問題作編」では様々な感情を爆発させる三上の姿が映し出され、彼にどんな運命が待ち受けているのか期待が高まる映像となっている。

吉澤について“この役には長澤まさみしかいない”と思ったという西川監督は「(長澤さんは)年齢とともにどんどん幅が広くなっている。きれいな女優さんであればあるほど、なかなかヒール(悪役)役を受け入れることに時間がかかると思うんです。でもいまの長澤さんなら、これくらいの悪役は、跳ね返してやってくれるだろうなと思ってお願いしました」と語っている。

一方の長澤は西川組、役所の芝居への姿勢に触れ「常に緊張感があり、コツコツと積み重ねる仕事だと改めて思った」「求められているものが、どんどん明確になっていくのが楽しかった」と撮影を振り返る。さらに「台本はのめりこむようにあっという間に読んでしまいました、時代の流れと共に変わっていく人間の感覚について考えさせられましたね。(出所したての三上は)時代錯誤な人に感じられるけど、そういう時が経ったことに気付いていない人は実は世の中には沢山いると思います。最後はふしぎと心が温かい気持ちになる作品です」と思いを語った。

さらに長澤は西川作品の男性像について「三上はどこか愛らしくて可愛らしい一面があるので、(観客は)感情移入していけると思います。過激なシーンもあるんですけど、それがクスクス笑えるシーンになるんです。お芝居を重ねるうちに三上の別の顔をもっともっと観たいと思っていました。西川監督の作品に出てくる男性たちは、どこか欠点があって、完璧でない部分が人間らしさにつながっていると思います。」とコメントしている。

なお長澤もナレーションを務めたスポット映像は、1月30日(土)よりテレビCMとして放映開始予定。この世の中に一石を投じる確固たる信念も垣間見える吉澤を演じた長澤の新境地にも注目だ。

文/富塚沙羅