フォロワー46万人を超える映画感想TikTokクリエイターのしんのすけが、医師と患者、その家族のドラマを描くヒューマン医療巨編『いのちの停車場』(5月21日公開)をいち早く鑑賞。松坂桃李と広瀬すずの演じるキャラクターが、もがきながら新しい一歩を踏みだしていこうとする様に胸を打たれたと明かし、「僕はよく、中高生の方から『将来、なにをやりたいかわからない』という相談を受けることもあるんです。彼らの姿には、その悩みに対する答えがあるように感じた」とコメント。「若い世代にとって、たくさんの生きるヒントがちりばめられている」と話す。しんのすけが本作から受け取ったメッセージ。そして、父と母への想いまでを明かした。

■「松坂さんと広瀬さん演じる役柄が、“人生の決断”の一つの方法を教えてくれる」

現役医師であり作家としても活動する南杏子の同名小説を、『八日目の蝉』(11)などの成島出監督が吉永小百合主演で映画化した本作。金沢にある「まほろば診療所」を舞台に、東京からやってきた医師の咲和子(吉永)、咲和子に出会い、医師になることに向き合い始めた青年の野呂(松坂桃李)、ある“とらわれていた過去”から歩み始めた看護師の麻世(広瀬すず)、彼らを見守る「まほろば診療所」の院長の仙川(西田敏行)が、患者やその家族に寄り添っていく姿を描く。

しんのすけは「普通のように見えて、普通ではない。難しそうに見えて、難しくない映画。そして、ものすごく優しい映画」と本作を観た率直な感想を吐露。咲和子の誠実な仕事ぶりを見ることで、若い世代である野呂と麻世が変化をとげていく姿が深く印象に残っているといい、「継承といった、“次の世代に伝えたい”という想いを強く感じた」と語る。

「野呂と麻世の2人が僕にとって近い世代ですが、彼らの姿には、若い世代が生きるうえでのたくさんのヒントがあるように感じました。僕は学生や20代の方から『なにがやりたいかわからない』という質問を(SNSの)DMなどで受けることがあるんですが、そのような人って実はたくさんいると思うんです」。そんな時にしんのすけは「流れに身を任せてみることは、決して悪いことではない」という言葉をかけるそうだが、本作の放つメッセージは、自身の想いと一致していたと続ける。

「本作の野呂と麻世もまさに、自分ではなかなか新しい決断をできなかった2人。でも『まほろば診療所』で咲和子先生と出会ったことで、自分にとって最良の決断ができるようになっていく。この世の中、『受け身になるのはダメだ』というような風潮がある気がするんですが、流れに身を任せてみると、自動的に決断できるタイミングがやってきたりするもの。本作の前半で野呂と麻世は、生死をしっかりと見つめるようになり、後半では自分の役割や生まれてきた運命に気づき、自発的に決断できるようになっていく。若い世代にとっては、『こういう決断の仕方があるんだ』、『出会いがあって、いまがあるんだ』と気づける瞬間が必ずあるはず」と力を込める。

■「この映画は優しい。自分自身が共感できるエピソードだからこそ、そう感じた」

最後の願いとして海へ行くことに憧れる少女、家を飛びだした息子のことを想う父、憎まれ口を叩き合う老夫婦など、「まほろば診療所」を中心に、あらゆる患者とその家族が登場する。それぞれの命の輝きを目にしたしんのすけは、「医療というテーマを軸にしながら、家族それぞれに違う状況、それぞれの想いがあることがわかる」としみじみ。

「多種多様な家族が登場するので、あらゆる世代にとって、自分がいま抱えていること、もしくは数年前に起きた出来事、数年先に起こりうることが描かれていると思います。誰もが『思い当たることがあるな』と感じるはず。僕もいま、祖父母が足を悪くしたりしていて『心配だな』と思うこともあるんですが、咲和子先生や野呂、麻世はいつも、患者さんや家族が前向きになれるような接し方をしていました。人との接し方という意味でも、『僕らにはなにができるんだろう』と考えることができる映画」と、刺さるポイントが多かったという。

とりわけしんのすけが心を揺さぶられたのが、柳葉敏郎演じる厳格な父の姿だという。長年、息子と心を通わせることができなかった彼だが、死の淵で息子との再会を願うのだ。しんのすけは「僕の両親は離婚をしていて、僕自身、父とはだいぶ会っていません」と告白。「もう共感どころではないですね」と微笑みつつ、「あのシーンでは、自分自身のこともいろいろと想像しました。そこで本作は、父親側、息子側のどちらも決して悪者には描いていなかった。自分自身、重なるエピソードだからこそ『本当にこの映画は優しいな』と感じました」と打ち明ける。

■「僕のことをいつも応援してくれる母に感謝しました」

全編にわたって“命の大切さ”が紡がれ、身近な人の存在が決して「当たり前ではない」と感じる人も多いはずだ。しんのすけは、「母への感謝」を改めて噛みしめたという。

「僕は映画が好きで、映画の道を志して、この業界に入りました。それもすべて母が応援してくれました」と切りだし、「そういったことを考えても、誰かの存在が重要な決断に影響することってたくさんあると思うんです」と想いを巡らせる。「『いのちの停車場』というタイトルには、もちろん“命がしまわれる場所”という意味もありながら、人生を歩んでいる人にとっての“立ち止まって考える場所”という意味合いも込められているのかなと感じました」。

「咲和子先生や野呂、麻世も、そして各エピソードに出てくる家族もみんな、患者さんの姿と向き合うことで『これから自分はどうやって生きていくのか』と、この先のことを考えていく。僕自身も映画を観ていてそう感じることの連続でしたし、母のことを考えたりしました」とにっこり。「決断や継承、生死についてなど、生きるうえでの大切なことを優しく伝えてくれて、とても好きな映画です」と語っていた。

構成・文/成田おり枝