今年で芸能活動25周年を迎えた、女優の深田恭子。現在、2シーズンが放送された人気ドラマを映画化した『劇場版 ルパンの娘』が公開中だ。女泥棒として主演を務めた本シリーズは、「私にとって宝物になりました」と心を込めた深田。新境地を開いただけではなく、スタッフやキャストと家族のような絆を育みながら、コロナ禍において「笑顔や元気を届けられる作品に参加できたことが、とてもうれしい」と話すなど、改めてものづくりのすばらしさを噛み締める機会になったという。「長かった」と振り返る25年のキャリアのなかでも、本シリーズは「まだまだ演じたことがない役、作品がある」と発見があったという深田が「ルパンの娘」に注ぐ愛情を語った。

■「泥棒スーツにもとても愛着があります」

同名ロングセラー小説を原作に、『翔んで埼玉』(19)の武内英樹監督と脚本家の徳永友一が再タッグを組み、2019年、2020年と2シーズンにわたって連続ドラマ化した「ルパンの娘」。深田演じる代々泥棒一家の“Lの一族”の娘、三雲華と、瀬戸康史演じる代々警察一家の息子である桜庭和馬の禁断の恋を軸にした物語で、全力でふざけるキャストの好演や激しいアクション、ミュージカル演出にパロディなど独特の世界観で話題を集めた。なかでもファンタジーの世界に観る者を誘う力を持った深田の、女泥棒役へのハマり具合は抜群。大いに評判となった。

今回ファン待望の劇場版がお目見えしたが、深田は「(連続ドラマの)シーズン2があるということだけでも驚いたのですが、まさか映画にもなるなんて思ってもいなかったのですごく楽しみにしていました」と喜びを吐露。「ルパンの娘」はいつも驚きをくれるシリーズのようで、劇場版の脚本を読んでも「誰も予想がつかないような脚本でした」とワクワクしたという。

劇場版では異国の地を舞台に、“もう一人のLの一族”である三雲玲(観月ありさ)の存在と華の出生の秘密が描かれる。「こんな始まり方をするんだという驚きもありましたし、撮影現場で『これはどんなシーンになるのかな?』と思っていたような場面が、完成作では想像をはるかに超えた仕上がりになっていたりと、とても楽しかったです」とにっこり。「“Lの一族”は泥棒一家なので、これまではなかなか家族全員で外出することがなかったのですが、今回は変装をせずに全員で街を歩くシーンもあって。すごく新鮮でした」とうれしいシーンを撮ることもできたという。

約2年にわたって、華を演じ続けてきた深田。「華は泥棒スーツを着ると『行くよ!』という口調になったり、“なにがなんでも助ける”という正義感が出てくる。普段の華と泥棒スーツを着た時とで変化するのが、華の魅力」というが、演じるうえでは「衣装に助けられる部分はとても大きかったと思います。いつもの服装で『悔い改めな!』といったセリフを発するのは恥ずかしいです」と照れ笑い。「泥棒スーツは最初こそ着るのが大変でしたが、次第にスッと着られるようになりました」と衣装もすっかり身体に馴染んだそうで、「ドラマのシーズン1、2、劇場版と続けてきたので、だいぶ着込んでいます。大画面で見ていただくと、それがわかってしまうかも…(笑)。とても愛着があります」と打ち明けつつ、「隣のスタジオで真面目な作品を撮られていたりすると、(廊下ですれ違った時に)泥棒スーツ姿にびっくりされることもありました」と楽しそうに語る。

■「『ルパンの娘』チームは家族のよう。仮面を渡されたら、またいつでも華になりたい」

本シリーズのキャスト陣にも「たくさんの愛情があります」という深田。夫役の瀬戸だけでなく、父親・尊役の渡部篤郎、母親・悦子役の小沢真珠など、個性豊かなメンバーが顔を揃えているが、「地方ロケもありましたし、一緒にいろいろなところに行くことができました。ものすごく居心地のいいメンバーです。誰がムードメーカーということもなく、各々が自然体で過ごすことができる。お芝居のなかでも、細かく指示されなかったとしても、それぞれが自然と自分のポジションに立つことができます。本当に“家族感”があるんです」とのこと。

「2年かけて、最高の絆を育むことができた」とうれしそうに語り、「ミュージカルやアクションの練習も一緒にやってきました。部活のような雰囲気もあって、そこでいろいろなことを乗り越えたからこそ、絆も強まったのかもしれません。ダンスシーンは『誰かが間違えてはいけない』という意識が働くのか、みんな自主練をしたりして。渡部さんが一生懸命にダンス練習をされている姿というのも、とても新鮮でした。また待機場所で誰かが歌い始めると、ほかのメンバーが口ずさむように歌いだして、気づいたら合唱になっていることもありました」と温かな現場の様子を述懐。「ドラマを撮り始めたころ、『みんなでハモるのはどうですか?』と提案させていただいたことがあるんです。それを採用していただいて、みんなで声を合わせて歌えたこともいい思い出です」と目尻を下げる。

「家族のようになった。チームワークがとてもいいんです」というのは、キャストだけではなく、スタッフも含めた現場全体のことだという。深田によると「武内監督は突拍子もないことを思いついたりするので、いつなにが来るのかとドキドキしているようなところもあります。“思いついちゃった事件”がたくさんある」そうで、その武内監督の“真面目にふざける姿勢”こそ本シリーズの根幹のように感じられるが、「チーム一丸となって、監督のアイデアを表現していく。その一体感のなかにいられることが、とてもうれしいです」としみじみ。

深田はマスクをつけた姿でクランクアップを迎えたそうだが、最後にマスクを外し「今日で泥棒を卒業します」という挨拶をしたのだとか。しかし「仮面を渡されたら、いつでも華になりたい。今回“シリーズ最終章”と言われていますが、“Lの一族”はいつも言うことが変わってくるので。もしものことがあったら、一家みんなで、華が仮面を手に取らざるを得ないような状況に持っていくんじゃないかな?」とお茶目に妄想を繰り広げるなど、深田自身もさらなる続編を待ち望んでいる様子だ。

■「長かった25年。まだまだ、演じたことのないような役がある」

1996年、中学2年生の時に第21回ホリプロタレントスカウトキャラバン「PURE GIRLオーディション」でグランプリを受賞して芸能界入りを果たした深田。あらゆる作品、役柄と出会うことができた25年という道のりは、振り返ってみると「とても長かったです」と告白する。

「最初は、学校に行きながら芸能活動をさせていただいて。右も左もわからないような状態」と述懐。「『ルパンの娘』に参加して気づいたのは、まだまだやったことのない役や作品があるんだなということ。ここまでヒーロー的な役柄もやったことがなかったですし、作品自体もミュージカルやアクション、コメディ、人間ドラマなど、こんなにもいろいろな要素が詰まったものって、なかなかないと思います。家族のようになれた皆さんと『こんな作品はほかにない』と思えるものを作れたことが、ものすごくうれしいです」とものづくりの醍醐味をたっぷりと感じたそうで、「まだまだやったことがない役がある。また新しい、演じたことのないような役や作品があれば、ぜひ演じてみたいです」と勇気をもらったという。

深田にとって「宝物になりました」という本シリーズ。「こういった時代だからこそ、楽しいと思える時間や、笑うことってとても大事なことなんじゃないかなと思います。本作を観て、元気になっていただけたら本当にうれしい」とコロナ禍という時代に思いを馳せた彼女。「もし、この映画を観て“笑ってはいけないコンテスト”があったら、みんな負けてしまうと思います。いろいろな人のツボに刺さるようになっているので、絶対にみんな笑ってしまう。それには自信があります!」と誇らしげな笑顔を見せていた。

取材・文/成田おり枝