アニメ「鬼滅の刃」を劇場で公開する『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』。IMAX同時公開も始まり、大スクリーンで本シリーズの世界に飛び込む最高のチャンスがやってきた。「神回」と話題を集めた「遊郭編」の戦闘シーンのすさまじさに改めて興奮し、世界初公開となった新エピソード「刀鍛冶の里編」の第一話に集結した、「上弦の鬼」の迫力に震えること間違いなし。本稿では、劇場鑑賞必至の本作を全力で楽しむべく、圧倒的映像体験を提供するIMAXでの見どころポイントを紹介したい。

■映画冒頭から涙腺崩壊…「紅蓮華」と「明け星」で炭治郎の物語をプレイバック

累計発行部数1億5000万部を突破した吾峠呼世晴による漫画を原作に、2019年より放送がスタートしたテレビアニメ「鬼滅の刃」。主人公の竈門炭治郎(花江夏樹)が、鬼に変貌した妹の禰豆子(鬼頭明里)を人間に戻すため“鬼殺隊”に入り、鬼狩りの道を歩んでいく物語だ。放送が始まるや、炭治郎の優しさや仲間と育む絆、敵となる鬼を交えた熱くドラマチックな展開と共に、気鋭の映像プロダクション、ufotable制作の映像クオリティの高さも視聴者をクギ付けにした。2020年に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、日本映画史の興行収入を塗り替える記録を樹立。大人から子どもまで幅広い層の支持を集める大人気シリーズとなった。

本日より上映開始となった『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』は、「無限列車編」で鬼殺隊最強の剣士である柱の一人、煉獄杏寿郎(日野聡)の想いを受け取った炭治郎たちが、新たな任務へと向かう「遊郭編」のクライマックスとなる第十話、第十一話の劇場初上映と、4月からテレビ放送を控える「刀鍛冶の里編」の第一話をお披露目するもの。本編映像を全編4Kにアップコンバート、全編の音楽も劇場環境に合わせて再ミックスするなどパワーアップした内容で、最高の映画体験を提供するIMAXで味わい尽くしたい1作となっている。

映画冒頭には、「竈門炭治郎 立志編」のオープニングテーマであるLiSAの「紅蓮華」と、「無限列車編」のオープニングテーマ「明け星」を使用した「スペシャルアバン」が追加された。作品の世界観を映しだした楽曲にあわせて、炭治郎のこれまでの物語を目にすることができ、胸がいっぱいになるような名シーンに涙腺崩壊する人も多いはず。IMAXの高精度なサウンドで楽曲を堪能して、物語へ入り込んでほしい。


■「神回」と話題となった炭治郎や宇髄たちと上弦の鬼との戦闘シーンの迫力がすごすぎる!

「遊郭編」では、柱の一人、音柱の宇髄天元(小西克幸)と共に、炭治郎たちが鬼の棲む遊郭で過酷な戦いに挑んだ。とりわけ、クライマックスとなる激闘がつづられた第十話、第十一話は、映像の力強さ、声優陣の熱演などすべてが破格のクオリティを発揮し、SNS上でも「劇場で観たい」という声が続出。今回は、そのファンの願いを叶える機会となった。

最新鋭の技術を最大限に駆使したIMAXなら、より生き生きとした映像体験が味わえ、楽曲や劇伴のリズムに合わせて心まで踊るはず。そして、注目の一つは戦闘シーン。炎が燃え盛る遊郭の様子は熱風がこちらにまで吹いてくるかのような臨場感があり、いっきに映画の世界へと誘われる。IMAXの映像はシーンのなかの温度すらも感じられるほどクリアで、自分自身も炭治郎たちの戦いの舞台となる遊郭に迷い込んだような感覚を得られるのだ。

「遊郭編」の敵となる「上弦の陸」の鬼、堕姫(沢城みゆき)は血鬼術で帯を自在に操り、炭治郎たちを苦しめる。吾妻善逸はその攻撃に応じるが、神速を表現するスピード感あふれる映像も圧巻だ。炭治郎は、堕姫の兄でもう一人の「上弦の陸」の鬼、妓夫太郎(逢坂良太)と対峙することになるが、炭治郎が刀を振り下ろす場面は、特に力強さを感じることができる。攻撃の際に躍動感を持って描かれる、特殊効果におけるカラーのコントラストも、大スクリーンで見届けられるのがうれしい。さらに炭治郎たちにとって頼もしい柱、宇髄天元と妓夫太郎のド派手な戦いぶりは、お腹の底に響くような爆発音や、激しく刀がぶつかり合う音も迫力があり、見応えたっぷり。

昨年3月に開催された「AnimeJapan 2022」のステージで、「遊郭編」を振り返った炭治郎役の花江が「みんな叫びまくりで、すごかったです」と熱い現場となったことを告白し、嘴平伊之助役の松岡禎丞も激闘のシーンではこれまで以上に仲間との一体感を実感したと語るひと幕があったが、その言葉どおり、声優陣の気迫に満ちた演技もすさまじいものがあった。声優陣やスタッフも、原作に描かれた炭治郎の“諦めない力”に呼応するかのように熱意とクオリティを高めていくのが本シリーズのすごいところと感じる。深みある映像とサウンドを感じられるIMAXで、細部までこだわり抜いたバトルシーンを全身で浴びるように鑑賞すれば、呼吸やまばたきも忘れるほど見入ってしまう。劇場で観て圧倒される完成度と、太鼓判を押したい。

■「鬼滅の刃」らしい、ドラマチックな展開に浸る

「週刊少年ジャンプ」の作品らしい王道感だけでなく、鬼たちの葛藤も明らかにするなど単なる勧善懲悪の物語ではない点も、本シリーズの大きな魅力だ。「遊郭編」では、炭治郎&禰豆子と形は違えど、妓夫太郎&堕姫の兄妹の結ぶ特別な絆も視聴者の胸を打った。

妓夫太郎のねっとりとした性質や、ささやき声、炭治郎たちを挑発するような高笑いなど、その不気味さを見事に表現した逢坂。沢城は、堕姫の強烈な恐ろしさだけでなく、泣いたりわめいたりと、子どものような一面までをすばらしく体現するなど、演じた2人共が巧みに声色を変化させながら、豊かな表現力で難役を演じきっている。過酷な環境を2人で生き抜いてきた、妓夫太郎&堕姫。暗黒さえも鮮明に映しだすIMAXなら、彼らの怒り、悔しさ、悲しみが語られる暗闇の場面でも、2人の織り成すドラマ、そして炭治郎の優しさに深く浸ることができる。彼らの物語も、大スクリーンと極上の音響で目撃すればいっそう物語に深く入り込めること間違いなしだ。

■上弦集結!「刀鍛冶の里」新エピソードをIMAXの大画面で見届けよう

そして4月より全国フジテレビ系にて放送開始となる新エピソード、「刀鍛冶の里編」の第一話をいち早く観ることができるのも、本作の大きなポイント。「刀鍛冶の里編」では、炭治郎たちの最大の敵となる鬼舞辻無惨(関俊彦)によって選ばれた12体の鬼からなる精鋭集団「十二鬼月」のなかでも上位となる「上弦の鬼」が、ついに集結!最強の鬼たちの放つ、不気味なパワーに震えるようなひと時となる。

異様な雰囲気を放つ「上弦の壱」の黒死牟(こくしぼう)、飄々としてどこか掴みどころのない「上弦の弐」の童磨(どうま)、「無限列車編」で煉獄と激闘を繰り広げた「上弦の参」の猗窩座(あかざ)、額に角のある「上弦の肆」の半天狗(はんてんぐ)、壺のような「上弦の伍」の玉壺(ぎょっこ)が登場するシーンは、ゾワゾワとした緊張感が走る。炭治郎たちの前に立ちはだかるであろう彼らの、底知れぬ恐ろしさを秘めた姿を堪能しよう。

そして「上弦の鬼」が集うのは、鬼舞辻無惨の本拠地である「無限城」。これまでのテレビアニメシリーズにも登場したことがあるが、なんといっても、床から天井まで壁一面に広がるIMAXの圧倒的なスクリーンに映しだされる「無限城」はまた格別。奥行きのある空間や複雑な構造など、壮観な光景が目の前に広がる。また「刀鍛冶の里編」で活躍する、鬼殺隊の霞柱、時透無一郎(河西健吾)や恋柱、甘露寺蜜璃(花澤香菜)の姿も確認できるので、4月からの放送が一層楽しみになるはずだ。

いっさい妥協のないものづくりが、日本アニメ史に残る傑作シリーズを生んだのだと改めて実感できるような本作。ぜひともIMAXの大画面で、その魅力をかみ締めてほしい。

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正式表記
※煉獄杏寿郎の「煉」の漢字は「火+東」が正式表記
※鬼舞辻の「辻」の部首は「いってんしんにょう」が正式表記

文/成田おり枝