ジェームズ・ガン監督がメガホンをとり、銀河一の落ちこぼれチームの活躍を描いてきたマーベル・スタジオの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの最新作にして、シリーズの最終章となる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(公開中)。スター・ロードことピーター・クイル役のクリス・プラットは、ガーディアンズと共に歩んできた約10年間の旅路を感慨深げに振り返る。

■「ガーディアンズのファミリーとは、本当の家族のようになりました」

「本作でガーディアンズのファミリーと再会できたことは、本当に特別なことでした。こんなにも仲良くなれることは滅多にないし、もう何年も一緒に仕事をしてきて本当の家族のようになりました。これまでの作品と今回で大きく違っていたことは、みんな終わりが来ることがわかっているので、それぞれが自分なりに感情の処理をしていたことだと思います。僕たちはこの映画を誇りに思っているし、人々がこの映画に魅了されることを願っています。それが僕たちの仕事の喜びの一つですから」。

幼い頃に宇宙海賊によって地球から誘拐され、やがて宇宙を股にかけるトレジャーハンターとなったピーター・クイル。シリーズ1作目の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)では、強大な力を持つパワーストーン“オーブ”を盗みだしたことから悪党たちに追われ、アライグマのロケット(声:ブラッドリー・クーパー)や樹木型ヒューマノイドのグルート(ヴィン・ディーゼル)、狂暴な男ドラックス(デイヴ・バウティスタ)、そして危険な暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)とチームを結成。銀河を救うために無謀すぎる戦いに挑んだ。

その後『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(17)で再び銀河滅亡を阻止する活躍を見せたガーディアンズの面々は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)で宇宙を漂っていたソーを救出。サノスの“指パッチン”によって窮地に陥り、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)で再び集結。アベンジャーズの一員としてサノスを倒すことに成功した。そして最新作では、銀河を“完璧な世界”に作り変えようとする最凶の敵ハイ・エボリューショナリー(チュク・イウジ)が襲来し、ロケットに命の危険が迫る。そしてガーディアンズは、家族を超えた絆で結ばれた仲間の命を救うため、最後の戦いへと突き進む。

「本作のなにがエキサイティングかというと、“フェーズ2”の頃のあの感覚に戻ることができるということです。まだ聞けていない一つの物語のようなものなので、本当に懐かしく、絶妙なタイミングだと思います。観客の皆さんは、きっとこの時代を再び生きられることに興奮するでしょう」と、プラットは最新作の出来映えに強い自信をのぞかせた。

■「一生懸命取り組んだエンディングは、本当に美しいものになっています」

プラットにとって一躍ブレイクのきっかけとなったのが、この「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ。それを契機に「ジュラシック・ワールド」シリーズや『トゥモロー・ウォー』(21)、さらに現在世界中でメガヒットを記録している『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(公開中)ではマリオの声優を務めるなど、目覚ましい活躍を続けている。

それだけに、シリーズが完結を迎えることへの感慨はひとしおのよう。なかでも共にシリーズを駆け抜けてきたジェームズ・ガン監督について「ジェームズはコミュニケーション能力もコラボレーション能力も、リーダーとしての能力も併せ持ったすばらしい監督です。3作とも彼がマエストロでいてくれたことにとても感謝しています」と敬意をたっぷり込めて語る。

「彼と一緒に3本の映画に携わることができたのは、僕たちキャスト、スタッフ全員にとって本当に幸せなことだと思います。彼の声や脚本、演出スタイル、動物への愛や奇妙なものへの愛、そしてコメディのやり方やドラマ性からトーンにいたるまで、すべてがとても独特でユニークです。なによりも、彼は自分がなにを望んでいるのかを正確に把握しているので、効率よくその瞬間に魔法をかける方法を理解しているんです」とベタ褒め。

またもう一人、同じくシリーズを通して共演してきたガモーラ役のサルダナについても「彼女は常にファンタスティック」だとあたたかな賛辞を送る。「ガモーラが歩んできた道のりは、MCU全体のなかでも特に興味深いものです。同時にそれを演じたゾーイのプライベートでの歩みも本当にすばらしい。ガモーラは、これまで見てきたなかでもっともよく描かれたキャラクターで、最新作でもとても魅力的なんです」。

そして「ピーターとガモーラ。これまで恋をしてきた2人の3部作がどのように終わるのか。きっとみなさんの予想や期待を裏切ることになるでしょう」と語る。あのサノスに育てられ、“指パッチン”後にはアベンジャーズの活躍によってガーディアンズと出会う以前の状態となって帰ってきたガモーラ。宇宙海賊のラヴェジャーズを率いるようになった彼女と、最愛の恋人だったガモーラがいないショックから立ち直れずにいるピーターの関係に、是非とも注目してほしい。

「みんながこの映画のなかで本当に輝き、最後に素敵な瞬間を迎えたと感じられるように一生懸命取り組みました。なので、エンディングは本当に美しいものになっていると思います」と改めて本作への並々ならぬ自信を語るプラット。本作でスター・ロード/ピーター・クイルとしての旅路を終える彼は、今後またカムバックすることがあるのだろうか?プラットは「マーベルだからね」と含みを持たせて答える。

「マーベルにはキャラクターを連れ戻してくれる方法が確立している。それになにより、僕はケヴィン・ファイギやルイス・デスポジート、マーベルのみんなやディズニーのボブ・アイガーとアラン・ホーンと一緒に仕事をするのが大好きでしたから。もしファンの方々が本当に愛し、すごく望んでいるのであれば、もしかしたら実現する方法があるかもしれませんね」。

構成・文/久保田 和馬