先週末(5月5日から7日)の北米興収ランキングは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(日本公開中)が大方の予想通りNo. 1を獲得。まずはこれまでの「ガーディアンズ」シリーズや近年のMCU作品の初動成績と比較していこう。

2014年に公開された第1作は、オープニング興収9432万ドルを記録し、最終興収では3億3317万ドルに到達。続く2017年の第2作はオープニング興収1億4650万ドルで、最終興収は3億8981万ドルと、いずれもMCUらしい堂々たるもの。そして今回は初日から3日間で興収1億1840万ドルと、ちょうど前2作の中間に位置するオープニング成績となった。

一方、2022年に公開されたMCU作品では、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(22)と『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(22)が1億8000万ドル以上のオープニング興収で最終興収4億ドルを突破。『ソー:ラブ&サンダー』(22)もオープニング興収1億4400万ドルで最終興収3億4300万ドルと、いずれも初動から2億ドル近い上乗せに成功している。しかし今年公開された『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(23)は1億ドルを上回るオープニング興収にもかかわらず、現時点で累計興収2億1300万ドルという大苦戦に。

今回の「ガーディアンズ」は、いったいどちらに転ぶのか。批評集積サイト「ロッテン・トマト」の観客からの好意的評価の割合を見てみると、第1作の92%、第2作の87%を上回る95%という好評を獲得していることからも、持続力のある興行は充分に期待できる。あとは5月中旬以降に公開されるサマーシーズンの大作との相手関係次第だろう。

ちなみに「ガーディアンズ」に合わせて上映劇場を増やした『アントマン&ワスプ:クアントマニア』が予想外の大躍進。劇場の増加率を大きく上回る興収の増加で、前週の35位から12位に一気にランクアップ。過去に『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)公開時に『キャプテン・マーベル』(19)が、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)公開時に『ブラックパンサー』(18)が順位を上げることはあったが、興収の急増とまではいかなかった。この異例の現象が「ガーディアンズ」にどんな影響をもたらすのか、とても気になるところだ。

さて、5週目にしてついに首位から陥落した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(日本公開中)は、前週から興収が半分以上減少する大きなドロップに見舞われたが、これは大作の公開があったことを踏まえれば想定の範囲内。5月11日の段階で北米歴代興収ランキングの17位に、全世界歴代興収ランキングでは24位となっており、あとはこの順位をどこまで押し上げていくのかを気長に見守っていきたい。

文/久保田 和馬