キム・ゴウンへの愛が爆発!トレンディエンジェル斎藤司が語る、『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』が尊い理由
MOVIE WALKER PRESS6/7(土)12:30
「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」、『破墓/パミョ』(24)のキム・ゴウン、「Pachinko パチンコ」のノ・サンヒョンが共演し、『女は冷たい嘘をつく』(16)のイ・オニ監督がメガホンをとった『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』(6月13日公開)。本作は、他人の目を気にせず自由奔放に生きるジェヒ(キム・ゴウン)と、ゲイであることを隠し、孤独に生きるフンス(ノ・サンヒョン)という、正反対の2人が出会い、20代前半から30代前半にかけての人生のかけがえのない時間を、唯一無二の友人として共に過ごしながら、“自分らしい生き方”を模索していく物語を描く。K-POPや韓国カルチャーに造詣が深いことで知られ、キム・ゴウンの大ファンでもあるお笑い芸人・トレンディエンジェル斎藤司が、一足先に本作を試写で鑑賞。本作の見どころと韓国映画の魅力、キム・ゴウンへの愛を語り尽くす!
■「体中の汁という汁が一気にブワッと…(笑) 気づいたら泣いていました」

てっきり「ぺっぺっぺー!斎藤さんだぞっ!」とテンション高めに語り出すかと思いきや、本作を試写で観た感想について、「とにかく、気づいたら泣いていました」と、落ち着いたトーンで語り始めた斎藤。
自分を抑えず、ありのままに生きるジェヒの姿を「美しいな、魅力的だなと感じた」という斎藤。傍から見れば破天荒な生き方をしているかのように思える斎藤だが、「僕もフンスのように、環境や様々なしがらみに強く縛られていたことに気づきました。もっと言いたいことを言って、自分の意思を強く主張すればよかった」と、これまでの自分の人生を振り返るきっかけになったと明かす。
「僕自身は、つい“人当たりの良さ”みたいなものを優先してしまうところもあって。家族にも、親にも、相方や周りの友だちに対しても、普段から全然本音で話せていない。自分らしく生きられていないなって。映画を観ながらハッとさせられたんです」。なかでも斎藤がまず印象的だった場面として挙げたのは、ジェヒがウェディングドレス姿で喫煙するシーン。予告編の冒頭でも流れるが、「映画を観てもらうとわかるんですが、いろいろ考えさせられる構成になっているんです。彼女の生き方は、大人になっても変わらない。若さの特権なのか、それとも彼女自身の強さなのか――」と語る。

さらに、「BIGBANGのライブDVDを観て衝撃を受け、そこから徐々にK-POPや韓流ドラマにのめり込んでいった」と話す斎藤が、「あのダンスを完コピするべく、13回観て13回泣けた!」と熱弁するほど心を奪われたのが、本作のクライマックスに登場する、結婚式でのダンスシーン。「フンスがmiss Aの『Bad Girl, Good Girl』に合わせて踊る姿は、妙な色気とエモさがあって、あのシーンにこの映画のすべてが詰まっている!」と絶賛する。
「歌詞の表現と相まってあの2人の10年間のいろいろな過去が次々と思い出されて、体中の汁という汁が一気にブワッと噴き出してくるとでも言いますか(笑)。『このシーンのために、時にイライラしながら、時に喜びながら、この2人の人生の葛藤を俺はずっと観させられてきたのか…!』って腑に落ちる瞬間が訪れるんです」。

■「ジェヒとフンスの関係性に近いのは、僕にとっては奥さんなのかもしれません」

本作の大きなテーマとなっているのは、世代や社会に根強く残る旧態依然とした価値観のなかで、“自分らしい生き方”を模索することの大切さと、それを貫くことの大変さ。斎藤は映画のなかで描かれるジェヒとフンスの関係性について、「男女間であっても“恋愛”ではなく、お互いを必要とし合う強い“友情”。これまでの自分にはなかった感覚だからこそより強く心に残った」と言い、自分が大切に思う人たちから相容れない価値観を押し付けられた時の描写についても、「すごくリアルだった」と語る。
「いまって、いろんな意味で過渡期じゃないですか。終身雇用の時代が終わって、YouTuberのような職業がだんだん市民権を得ている一方で、トラディショナルな考え方をする人たちが、世の中にはまだまだたくさんいたりもする。そういった、複雑で繊細なテーマを、“エンターテインメント”という器を借りてリアルに描いているから、観ているほうにもスッと入ってくるんですよね。僕も、頭では、いざ自分の身に起きたときに、ちゃんと冷静に受けとめられるのかなって。思わずフンスのお母さん目線で観てしまうところもありました」と打ち明ける。

20代から30代までの長い時間軸で、“変化していくもの”と“ずっと変わらないもの”を、美しい映像と音楽にのせて描き出す本作。「大人になると、友情はあまり表に出てこない。忙しさにかまけて、表面上の付き合いになりがちですよね」と話す斎藤も、若かりし頃のジェヒとヒョンスが、酒を飲んでクラブで一晩中踊り明かすシーンや、酔った勢いに任せてタトゥーを入れたりする描写を目にし、「僕はクラブで踊り明かしはしなかったですけど、梨泰院ならぬ、“環七沿い”で、友人と夜な夜なバカなことをして遊んでましたね。いまの俺に、親友っているのかな…」と、少し感傷にひたる。斎藤にとっての“親友”や“友情”とは、どういう意味を持つのだろう。
「思い返せば、学生時代は全然仲良くなかったのに、卒業してから数年後にひょんなことがきっかけで意気投合して、しょっちゅう一緒につるむようになった友人が、僕にも1人だけいました。でも、“お互いの弱みも強みも、すべて理解している相手”という意味で、ジェヒとフンスの関係性に近いのは、僕にとっては奥さんなのかもしれません。相方のたかしに関しては、僕は結構俯瞰で見ているので、“親友”とか“友情”という括りで話すのは、ちょっと照れるんですよね(笑)。生きていれば大なり小なりみんな、なにかしらの悩みを抱えているとは思いますが、ジェヒとフンスのように、お互いの足りないところをカバーし合えるような相手が、皆さんの周りにもいると思います。たとえ、まだその存在に気がついていなかったとしてもね」。
■「フンスのように、自分の内に籠ってしまうところがあるので、強く主張できるジェヒに憧れます」

さらに、“自分らしさ”を励まし合い、次第に掛け替えのない存在になっていくジェヒとフンスにちなみ、「斎藤さんにとっての自分らしさとは?」と問い掛けると、こんな答えが返ってきた。
「僕にとってはやっぱり、この“テモリ(禿げ頭という意味の韓国語)”でしょうね。自分でも、まさかこんな人生(芸人)を歩むことになるとは思ってもみなかったのですが、もともと僕は人前に立つのは割と好きで。というか、僕、本当はアイドルになりたかったんですよ。残念ながらアイドルに求められるビジュアルではなかったけど。だからこそ、その想いをいかに前向きに昇華させられるかというのが、僕の20代から30代にかけてのテーマだった気がします。結果的に『人が笑ってくれればいいか』って思えるようになったというのが、僕が辿り着いた“自分らしさ”なのかもしれません。物事をポジティブ変換できるようになった反面、フンスのように、割と自分の内に籠ってしまうところもあるので、強く主張できるジェヒに憧れるというのもありますね」。

■「キム・ゴウンちゃん、クールビューティのパイオニアなのに喜怒哀楽の表現が豊かで、その泣き顔さえも魅力的」

「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」のキム・ゴウンに心を奪われて以来、ずっと彼女の大ファンだという斎藤が、韓国映画に惹かれる理由の一つが俳優たちの“表情の繊細さ”だ。「彼女は作品ごとにまったく印象が違う。自然体でチャーミングなのに、大人のクールさもあって。今回の映画でも、学生時代から大人になるまでの変化を見事に演じていて、その年代ごとのファッションやヘアメイクの違いも含めて、すごくリアリティがある。キム・ゴウンちゃん、クールビューティのパイオニアなのに喜怒哀楽の表現が豊かで、その泣き顔さえも魅力的。まさに“涙の女王”ですね」と力をこめる。ちなみに、この取材中斎藤さん、愛しのキム・ゴウンと自身の妻の生年月日が、全く一緒であることに気づき、その奇跡の一致に驚愕していた。

また、韓国映画ならではの“感情の爆発”や、たびたび登場する食事のシーンなども、斎藤が挙げた本作の見どころの1つ。「チャミスルやマッコリの飲み方や、1枚あたりのキムチの大きさ。そして、スンドゥブの食べ方まで。映画やドラマを通して、日本とは違う日常を海外旅行気分で味わえるのが楽しいんですよね。喧嘩のシーンでの感情の出し方なんて、日本と比べ物にならないんですよ。僕が奥さんに怒られている時も、『これ韓国だったらえらいことになってるな』と思うぐらい、韓国の俳優さんは『ヤーッ!』って発する時の声の突き抜け方がすごいんです。そうかと思えば、黙ったままで8秒くらい余裕でもたせられる。まぶたの動き1つで表情の変化が作れるんです。すごいですよね」。
■「自分らしく生きることの大切さと、友情の尊さについて考えさせられる、最高の映画でした」
取材の終わり、「この映画を一言で表すなら?」という問いに、斎藤は「サイコー」と答え、すかさず「再考、友情、キム・ゴウン最高〜!」と唱えた。“サイコー”とは、「自分を改めて見つめ直す機会になる」という意味での“再考(さいこう)”と、“最高”という、ダブルミーニングであるといい、「自分らしく生きることの大切さと、友情の尊さ。そして、多様な価値観についても考えさせられる、最高の映画でした。46歳という年齢のいま観られて、本当によかった!」と締めた上で、こう補足する。
「ただ、いくら『ジェヒの生き方に憧れる』とは言っても、もしいまの僕が彼女のように強く自己主張をし始めたら、もはやただの老害になっちゃうと思うので…(苦笑)。ジェヒのようなマインドを持ちながらも、出来る限り丁寧に生きていきたいな、と。例えばこういうインタビューの場であっても、投げ掛けられる1つ1つの質問に対して、僕がどう思って、それを皆さんにどう話すかによって、大袈裟かもしれないけど、明日からの人生が、少しずつ変化するんじゃないかという気もするんです。そんなことを、『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』は僕に気づかせてくれました」。
取材・文/渡邊玲子












