能登半島地震の影響で今も多くの店が休業を余儀なくされている穴水町の商店街。
かつての街並みを取り戻すため、今、復興に向け動き出しています。

先月7日、地震で大きな被害を受けた穴水町の商店街は、倒壊した家屋が道を塞ぎ、ほとんどの店が休業していました。

穴水商店振興会 吉村扶佐司会長(先月7日)
「後継者がいなくて困ったなという話で過ぎてきたわけだが、ピリオドを打つような感じがするな」

1か月以上が経ち…見えてきた明るい兆し

あれから1か月。地震発生当時塞がっていた商店街の前の通りは、がれきが除けられ、車が通れるようになっていました。

被害の跡は今なお色濃く残っていますが、一方で明るい兆しも。

穴水商店振興会 吉村扶佐司会長
「みんな少しずつ店を開けるようになって、少しにぎやかになってきたかなと」

商店街の一部の店が再開 「ゆっくりできるスペースを」 

今月12日、商店街にある町唯一のパン店BakeryH&Mが、断水の解消を受け、およそ1か月ぶりに店を再開しました。

訪れていた地元の客に話を聞くと…

パンを買いに来た客
「地震の後で商店街も結構潰れたところが多いので、こうやってパンとかやってくれてうれしいです」
「楽しみに来ました。すごく種類多くて喜んでいます」


BakeryH&M 橋本明美代表
「初日は20種類くらいだったけど、ちょっとずつ増やして。おいしいパンを食べていただきたいし、カレーパンとか温かい間に提供することもできるので」

今も厳しい状況に置かれている地域の人たちにと、息抜きができる空間を提供します。


BakeryH&M 橋本明美代表
「食べるところも広げたので、ここに座って食べていただいたり。避難所ばかりだと息が詰まるので、町に出てきてちょっとゆっくりできるスペースをもっと広げていきたい」

「店をオープンして元気な姿を見せたい」常連客と再会

商店街にある菓子店、お菓子工房Hanonも、地震で店の中の道具に被害が出ましたが、町を元気づけたいという一心で再開の準備を進めていました。


お菓子工房Hanon滝川若葉さん
「店をオープンして元気な姿を見せたいかなと思って」

今月19日、店を開くと最初にやって来たのは常連客の女性。

常連客
「またこの光景が見られるとは」
滝川若葉さん
「久しぶりですね、2か月ぶり」
常連客
「店のことで苦労しているんじゃないかなと思っていたので、(以前と)同じ元気な声を聞けて良かったです」


苦しい状況でも周りを明るく温かくできるように。滝川さんは、復興への思いを込めたクッキーを店頭に並べることにしました。


滝川若葉代表
「少しずつだと思います。営業できているのは本当にごくわずかの店ですし、やっぱり能登全体で少しずつ力を合わせて頑張っていけたら良いと思います」

地域のコミュニティを支えていく商店街に 2度目の復興へ

商店街では40ほどある店のうち、およそ10の店が営業を再開。

かつて、2007年の能登半島地震で被害を受けたときも、商店街はおよそ10年後に500人規模のハロウィンパレードを開催するまで立ち直りました。

穴水商店振興会 吉村扶佐司会長
「毎年のようにみんな工夫しながら参加してくれとる、またこんな気持ちになってくれればいいな」


一度はピリオドを打たれたと話していた吉村さん。
再びの復興を目指し、賑わいを街に取り戻そうと気持ちを奮い立たせます。


穴水商店振興会 吉村扶佐司会長
「商店街は厳しい、店の経営者も高齢化しているが、客も高齢化している。でもやっぱり地域のコミュニティを支えていく商店街を何として目指して続けていきたいと思う」

仮設商店街の建設を 町へ要望

吉村さんは商工会として穴水町に対し町の防災広場に仮設の商店街を作ってほしいと要望を出しました。これを受け町は、経済産業省の支援で建設に向けての道筋ができたとして、仮設商店街をつくることを決めました。

大きな被害を受けた商店街ですが、前を向いて動き出しています。