多くの医療機関が被害を受けた被災地では今も、全国から集まった医療関係者が支援に当たっています。こうした中、石川県珠洲市では地元のクリニックが通常診療を再開、地域で医療を支える動きも戻ってきています。

「(血圧が)170・80…反対の手も測りますね」

珠洲市正院町の小西医院。今月8日から通常診療を再開し、1日に20人以上の患者を診察しています。

医院では医療機械が一部壊れ、断水も続いていますが、小西堅正院長は、出来る範囲でと少しずつ診療の幅を元に戻すことにしました。

小西堅正院長
「大変は大変なんですけど、皆さん前向いて頑張っていただいているので、それにちょっとお力になれればなと」

地震で被災した看護師全員が退職…支援を入れて診療継続

ただ、勤務していた看護師3人全員が市外に避難し退職する事態に。今は日本医師会から看護師が派遣されています。


珠洲市JMAT 小山愛樹看護師
「小西医院がなくなってしまうと、ほかの患者さんが行き場を失くしてしまうというところがあるので、そこの診療のサポートを少しでも継続できるように看護師として働く必要があるかなって」
珠洲市JMAT 田畑慶喜看護師
「患者さんは小西先生に会って笑顔で帰られたりしていて、小西医院が珠洲市の皆さんを支えているんだなと感じた」

当初は閉院も頭に浮かんだという小西院長。地域の医療を支えるという強い思いで診療を続けます。

小西堅正院長
「何とか復興に向けて頑張ろうと言う思いを口にされている方が多いので、自分が真っ先にいなくなる選択肢はないかなと。やっぱり医療がなくなると人も帰ってきにくくなるので、できるだけこちらで頑張れるものなら頑張ってみたいかなって」

全国からの支援縮小の動きの一方 再開めど立たない医療機関も

少しずつ戻る地域医療。それに合わせ全国からの支援も縮小の動きを見せています。

岐阜赤十字病院 松下知路医師
 「医療ニーズも少しずつ少なくなってきている印象はあります」


こうした中、先行きが見えない医療機関もあります。

市内全ての歯科が休業 臨時診療車が奮闘

珠洲市の道の駅すずなりにある「臨時歯科診療所」

市内全ての歯科が建物の倒壊や断水の影響で再開の目途が経たない中、今月5日から日本災害歯科支援チームが診療にあたっています。1日5時間の診療時間も、者が絶えず訪れます。

訪れた女性
「(差し歯が)いつ取れるか心配で、歯医者さんも通っているところが水も出ないというので困っていた。取れなきゃいいなと心配していて、取れるんですよ。来て治してもらって本当に良かった、安心した」


矢原歯科医院 矢原憲一歯科医師
「口の中のことは体のことではないというふうな判断で痛みがあっても我慢される方が多い。そういう方々のためになるべく早く通常の生活に戻れるようなサポートをしていきたい」

臨時の診療所は市内の歯科が診療を再開するまで続けられます。