金沢市で2022年9月、登校中に道路を横断していた当時小学4年生の女の子が車にはねられ、現在も意識不明になっている事故の裁判で、過失運転傷害の罪に問われた34歳の男は、スマートフォンで動画を見ようと脇見運転していたと認めました。裁判は結審し、検察側は禁錮2年6か月を求刑しました。

この裁判は2022年9月、金沢市大桑町で近くに住む当時小学4年生の斉藤莉杏(りあ)さん(当時10)を車ではねたとして、金沢市末町の会社員・長林龍馬被告(34)が過失運転傷害の罪に問われているものです。
検察側は、長林被告が制限速度40キロを超える時速67キロで走行し、スマートフォンで動画を見ようと、脇見運転をしていたと指摘しました。
「ケータイだと印象悪くなると思って…」当初はうその供述
3日、金沢地裁で行われた被告人質問で長林被告は、当初捜査機関に「水筒を取ろうとしていた」と供述したことについて「ケータイだと印象が悪くなると思って、水筒の話をした」と、うその供述をしたことを認めました。
また警察の摘発を免れるため、普段からスマートフォンを腰の高さで操作して運転していたと話し「事故を起こすとは思わなかった」と述べました。
検察側は、動画を視聴したいという身勝手な動機で過失は極めて重大だとして禁錮2年6か月を求刑しました。一方、弁護側は、長林被告が今後自動車を運転しないと約束し、再犯の可能性はないなどとして、執行猶予付きの判決を求めました。
「殺人に等しい」「娘を返して」父親が法廷で涙の意見陳述
3日の裁判には莉杏さんの父親の斎藤安元さん(34)が、被害者参加制度を利用して意見陳述し「このような危険な運転は他人の命を軽視する行為と変わらず、殺人に等しいと思います。莉杏を返してほしい、元の幸せな家族の状態に戻してほしい」と悲痛な思いを語りました。

判決は10月25日に言い渡されます。