東京都内に数多くある美術館から、魅力ある作品を紹介していくコーナー<美のチカラ>です。今回は台東区の上野公園にある東京芸術大学大学美術館で開催中の「渡辺省亭展」で展示されている5幅(ふく)の掛け軸をご紹介します。

 この展覧会は明治から大正にかけて活躍した神田生まれの日本画家・渡辺省亭の全貌を目の当たりにできる初めての大規模展覧会です。作品数は全部で112件、そのうち初展示となる作品は40点です。和服を着た女性たちが描かれた「七美人之図」について、東京芸大美術館の古田亮教授は「省亭の作品の中でも最大級の作品。省亭にとっては珍しい、花鳥画でなく美人画。7人の女性を、真ん中においらん、他にも町人などそれぞれ違った立場の女性を配置して描いた。線の美しさはもちろん、色の美しさもよく表れている作品」と解説します。

 また、4幅の掛け軸が1セットで春夏秋冬を描いたといわれる「四季江戸名所」は、江戸の庶民にとってなじみのある場所を四季の彩りとともに描かれています。古田教授は「省亭は明治の半ばごろから活躍し、もう時代は江戸から変わっていった部分もある。近代化して新しくなってしまう部分と、江戸のまま残っている部分。そういったギャップがあった時代だと思うが、省亭は江戸の懐かしい部分を描こうという人だったんだろう」と話します。

 「渡辺省亭展」は東京芸術大学大学美術館(台東区・上野公園)で5月23日(日)まで開催されています。