マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みが10月20日から本格的に始まりました。2021年3月から一部で先行運用が始まっていたサービスの本格運用です。たくさんの恩恵を受けられるうち、メリットを4つ紹介します。

 まず、これまでに処方された薬や健康診断などの情報を共有することができます。患者本人の同意が必要ですが、旅先など初めての病院でも正確な診察や薬の処方を受けることができます。

 2つ目のメリットは高額療養費制度の利用が便利になります。突然の入院をして100万円といった高額な治療費がかかった場合、所得に応じて実質負担が10万円程度になる高額療養費制度は、これまでは一度全額支払わねばならず、数カ月後に差額分が返ってくるという仕組みでした。返ってくるとはいえ、一時的にお金を立て替えるのは大変です。マイナンバーを利用すれば限度額を超える支払いはその場で免除になります。

 3つ目は「医療費控除の確定申告」が便利になることです。年間にかかった医療費を確定申告すれば税金が控除されますが、確定申告のためには領収書を保存し、明細書に記入した上で自分で計算する必要がありました。これがマイナンバーカードを利用すれば、マイナポータルのサイトからインターネット上で確定申告ができるe-Taxに医療費の情報を連携することができるので、領収書を集めて自分で計算するという手間が省けます。

 そして4つ目は「転職や退職、引っ越しなどで保険証が切り替わる際にも、保険証の再発行を待たないで済む」ということです。マイナンバーカードがあれば、手元に届くのを待つことなく医療機関を受診することができます。

 では、マイナンバーカードをどのようにして保険証として使うのでしょうか。申し込みはスマートフォンやパソコンを使って自宅からできるほか、セブン銀行のATMや自治体に設置された専用端末などでも行うことができます。暗証番号を入力してカードを読み取るだけなので、申し込みは簡単に終わります。そして、医療機関での受け付け方法も変わります。顔認証付きカードリーダーが設置されているため、マイナンバーカードを置けばカメラで本人確認は完了です。マスクや眼鏡をしていても大丈夫だということです。また、暗証番号での本人確認も選べます。

 利用者にとってはかなり便利なサービスですが、課題もあります。それは「まだ利用できる人が少ない」ということと「利用できる医療機関が少ない」ということです。

 マイナンバーカードの交付率は10月1日時点、東京都では41.7%にとどまっています。現状、都民の半分以上が利用できません。また、カードリーダーが導入されている医療機関は、本格導入が始まった現在でも全体の1割未満となっています。補助金なども用意して2023年3月末までに全ての医療機関への導入を目指していますが、まだまだ「マイナ受付」のステッカーの張られた医療機関はごくわずかです。しばらくの間は、病院に行く時には今までの保険証も一緒に持っていった方がいいかもしれません。