東京・世田谷区は区内に住む60歳以上の高齢者の就労支援を始めました。

 高齢者の就労支援に活用するのは「GBER(ジーバー)」です。「地域の元気な高齢者を集める」という意味の英語の頭文字から名付けられました。全国の自治体で採用され始めている高齢者の就労支援のために開発されたウェブプラットホームで、東京都内では世田谷区の導入が初めてです。これは世田谷区が区民に対して行ったアンケートで65歳以上の「働きたい」と答えた人が9500人いたことから実証実験に参加したもので、2022年1月から本格的に導入する予定です。

 ジーバーでは「仕事をしたい高齢者」と「働き手を求める事業者」がサイトに登録します。事業者は人材を求める職種と勤務日数や給与を設定します。一方、働きたい高齢者は自分の体力に合わせた勤務日数や専門的な能力などを登録すると、自身に合った仕事の提案を受けることができます。求人では「建設現場の現場監督」など専門性の高いものから「広場で子どもたちと遊び、子育て中の家庭をサポートしてくれる人」というものまでさまざまで、幅広い求人があります。

 一方で課題もあります。世田谷区の実証実験に参加した人からは「仕事を求める高齢者の数に対し、仕事の種類と仕事の数がまだまだ足りない」という意見もあり、オンラインでサイトに登録する必要があるものの、対象となっているシニア世代がデジタル端末に慣れていない点も課題の一つです。世田谷区はさまざまな課題を解決した上で本格運用に臨みたいとしています。

 ジーバーを開発した東京大学先端科学技術研究センターの檜山敦特任准教授は「若い人が高齢者を必ず支えないといけない、高齢者とは『支えられるだけの存在』と位置付けられている今の社会構造そのものが、超高齢社会の根源的な課題なのではないか」と指摘し、シニアの活躍の機会が増えることは日本の活性化にもつながるとして「『企業』と『活躍の場を求めているシニア人材』との距離を縮めていくことによって、日本全国を元気にしていく一つの要素になったらと思っている」と話しています。