政府・与党が2022年度以降の住宅ローン減税を縮小する方針を固めました。どのような影響があるのでしょうか。マクロ経済学・金融危機・経済思想を専門とする慶応大学教授で、政府新型コロナ分科会のメンバーでもある小林慶一郎さんの解説を交えながらひも解きます。

 一般的な新築住宅の場合、現在の所得税と住民税から差し引く「控除率」は年末のローン残高から1%・上限は4000万円・期間は10年です(2021年中に入居する人までが対象)。これが見直し案では控除率は0.7%になる一方で、上限額は3000万円・期間は13年に延長されます(これから住宅を購入する場合)。ただし控除される上限額で見ると、これまでは400万円だったものがこれからは273万円へと、100万円以上減ることになります。

 見直す理由は「逆ざや」の解消のためです。歴史的な低金利が続く中、控除される金額がローンの利息よりも多くなっているのが今の「逆ざや」の状況です。例えば現在の制度では4000万円のローンを借り入れた場合、控除される金額は年間で40万円です。これに対して金利が0.4%だった場合、利息は年間で16万円のため、24万円「得」になってしまいます。税金の無駄遣いがないかチェックする会計検査院が逆ざや状況について「ローンを組んでいる人の78.1%が金利1%以下となっていて、税金の使い方として問題がある」と指摘したため、今回の見直しとなりました。

 住宅ローン減税が今回縮小されることで住宅購入に対して消極的になることも不安視されますが、不動産経済研究所によりますと2021年10月に首都圏で販売された新築マンションの平均価格は6750万円で、10月としてはバブル期を超えて過去最高となっています。特に東京23区の人気が高まっていて、クールダウンさせる効果も期待されます。

 一方で今回の見直しで恩恵を受けそうなのが中間所得層の人たちです。国交書の試算によりますと、夫婦と16歳以下の子どもが2人いる年収600万円の世帯が省エネ住宅を買って平均的な金額4320万円のローンを組んだ場合、これまでは控除額を使い切れず、控除額の総額が297万円でしたが、見直し案では期間が延びることもあって307万円となり、これまでよりも10万円増えることになります。岸田総理のいう「中間層への支援」となりそうです。

 この住宅ローン減税を含む与党の税制改正大綱は12月10日に決定する見通しです。