コロナ禍でお葬式の在り方も影響を受ける中、葬祭ディレクターを目指す若者たちがいます。葬祭ディレクターは厚生労働省が認める資格で、これまでにおよそ37万人が取得しています。仕事の内容は遺族との相談から当日の式の進行、そしてアフターフォローまで多岐にわたります。東京都内の専門学校で学ぶ若者の思いに迫りました。

 東京観光専門学校で粛々と進められる“葬儀”の授業では、喪主や親族、さらに棺の中の故人まで生徒が成り切って、実際の葬儀と同じように進められます。設定も細かく決められていて、今回は「耳が聞こえない男性との結婚式を間近に控えた女性が亡くなった」という設定で行われました。そのため、会場にはウエディングドレスも用意され、女性は「音楽教師」という設定のため高校生役も参列しました。

 なぜ、ここまでリアルにするのでしょうか。それは、葬祭ディレクターは多岐にわたる仕事の中で常に故人や遺族の思いに寄り添うことが求められるため、実際に即した授業で葬祭に関わるさまざまな人の立場を学ぶ必要があるという考えからです。

 この「お葬式のスペシャリスト」を目指して、今年も専門学校には24人の生徒が入学しました。目指す理由を聞いてみると「5年前の祖父の葬式がとても心に残っている。神聖さのようなものをすごく感じたので、直感で入学した」「最初はインスタグラムで見て、高校3年生の4月ごろ、親に相談して決めた」などといった声も聞かれました。また、不安定なコロナ禍ということで、中には「葬儀という文化はなくならない。サービス業で、なくならず続いていく職種だと思ったので葬祭業にしようと思った」と話す生徒もいました。

 入学して間もないことから生徒たちはまだ慣れないことも多く、長時間の正座やろうそくを消す所作など、葬儀での作法に苦戦することもしばしばです。それでも正確に覚えようと何度も練習を繰り返します。昔からのしきたりも多い中、スマートフォンで動画を撮影する生徒もいて、若い世代ならでの学び方をする姿も見られます。動画は自分たちの動作と先生のお手本を比べ、正しい動きを確認するために撮影しているといいます。

 入学から1カ月がたち、生徒たちは日々人に寄り添うことの大切さを学んでいるようです。生徒の一人は「先生に言われているのは『テンプレートにしない』ということ。その話を聞いた時に『あっ』と思った。その人のための葬儀、今後一生ない“1回だけの葬儀”で一人一人違うから『次はこうしたい』というのはないぞと言われて、すごく印象に残っている」と語ります。一方、指導する教員・高橋慎司さんは「その人でないとできない、何か一つ“自分だけの武器”を身に付け、自信を持って目の前の出会った人々に精いっぱいのことをできる葬祭ディレクターになってほしい」と話します。

 真っすぐに未来を見つめる生徒たちは理想の姿を思い描き、きょうも努力を重ねます。生徒たちは「関わる人たちに信頼してもらえる、この人に任せれば安心だと思ってもらえる葬祭ディレクターになりたい」「いろいろな人の要望に応えられる、あなたにお願いしてよかったと言われるような葬祭ディレクターを目指して頑張りたい」と夢を語りました。