都立高校入試に活用される「英語スピーキングテスト」が東京都内の公立中学3年生を対象に初めて行われました。東京都の小池知事は「大きなトラブルはなかった」とした一方で、実際にテストを受けた生徒などからは不満の声が上がっています。

 11月27日に初めての実施となった「中学校英語スピーキングテスト」は「英語を話す力」の育成を目的に創設されたもので、中学3年生およそ6万9000人が都内197会場でテストを受けました。テストは生徒がイヤホンマイクと防音用のイヤーマフを着け、回答をタブレット端末に録音する形で進められました。ただ、テストを巡ってはSNS上で「隣の教室の声がすごく聞こえてきた。答えが事前に分かるテストなんておかしい」「よく分からない待機時間が多過ぎる」「案内は駅前に1人だけ。迷子になったし、なってる人いっぱいいたし、最悪」といった書き込みも見られました。さらに試験を受け終わった生徒に話を聞くと、別の不具合も明らかになりました。受験生の1人は「ヘッドホンがすごく圧迫されて頭が痛くなり、テストどころじゃなかった。みんな痛かったけど『ずらさないでください』って言われて、ずらせなかった」と証言しました。

 テストから一夜明け、小池知事は「テストについては大きなトラブルはなかった。予定通り行われたと聞いている。いずれにしてもみんな頑張ったと思う」と総括しました。

 テストの結果は2023年2月に行われる高校入試の学力検査と調査書の合計点に加算されます。

<“公平性”に疑問 “運営”に疑問>

 都立高校の入試として初めて行われた英語のスピーキングテストですが、受験生からはSNSを中心に疑問の声が上がっているようです。

 テストの公平性については、スピーキングテストの様子を見てみると受験生同士の間隔が非常に近いことが分かります。受験生はイヤホンを着け、さらにその上からイヤーマフを着けて音が聞こえないようにしていましたが、受験生からは「他の人の声が聞こえる」「自分以外の声も回答用の音声データに録音されてしまう」といった声が上がっています。さらに、テストは2部制の入れ替え方式で行われましたが、会場によっては試験会場と待機する場所が隣同士ということに加え、コロナの感染対策として換気のため教室の扉を開けていたこともあり、前半組の受験生の声が後半にテストを受ける受験生に聞こえてしまっていたということです。待機会場には教材などの持ち込みが認められているので、聞こえてくるワードをヒントに対策を取ることが可能になり、テストの公平性に疑問の声も上がっています。

 こうした指摘に対し、テストの運営を担当したベネッセはTOKYO MXの取材に「主体は東京都教育委員会なのでお答えしかねます」と回答していて、都の担当者は11月27日時点で「今のところ聞いていない。物理的にあり得ない」と、こうしたトラブルはないとしています。

 他に、テストの運営にも疑問の声が上がっています。テストの時間は15分から20分程度ですが、トータルの待機時間がおよそ3時間で食事も禁止、会場までの移動時間も含めるとさらに多くの時間が必要だったため、時間を持て余したり、あるいは無駄な時間を過ごしたと感じた受験生が多くいたようです。また「当日の病欠連絡などの問い合わせ窓口に電話がつながらなかった」という声や、さらには「イヤーマフの締め付けがきつく、痛くてテストに集中できなかった」という声が多く上がっていました。

 小池知事は“大きな”トラブルはなかったと言っていましたが、受験生にとっては決して“小さな”トラブルではなかったはずです。事実上の高校入試ですから、受験生から次々に問題点を指摘されること自体、大きな問題です。しっかりとした検証と総括、そして改善が求められます。