1つの街に特化して、その街に住む人向けに作られたガイドブックが町田市で発売されました。その本は地元愛にあふれ、街の人の顔が浮かぶ内容となっています。

 町田市の書店で11月30日に売り出されたのは、その名も『まるごとぜんぶ町田の本』です。表紙には「知れば知るほどディープなマチダ!」「この一冊でもっと地元が好きになる!」などと書かれていて、ターゲットは“町田を訪れる人”ではなく“町田に住む人”です。早速、本を購入した人は「町田に住んでいて何十年とお世話になっているので、改めて魅力を知りたいなと思った」「沖縄から引っ越してきたばかりなので、町田のことを知りたいなと思って買った」などと話していました。

 本を編集した「ぴあ」の林由希子編集長は「昔から町田に住んでいるベテラン勢のような人が読んでも『こんなのあるんだ』『知らなかった』というような、ちょっとディープな内容まで掘り下げた1冊」と、内容に自信を見せます。

 ローカルグルメや地元の観光スポットにとどまらず、地元民にもあまり知られていない歴史やトリビア情報も掲載しています。さらに観光ガイドとの差別化を図るため、店舗の紹介の仕方にも“あるこだわり”があります。それは「人の顔が見えるような誌面にしたいなというのがあったので、誌面に顔出しで出て一言でもコメントいただき、それを誌面に落とし込んだ」(林編集長)ということです。店舗で働く人の顔を載せることでお店に対して親近感を感じてもらう狙いで、編集担当者は来店した時の会話のきっかけにしてほしいと話します。

 実際に掲載された店は自分たちの写真が掲載されることをどう感じているのでしょうか。1884年(明治17年)に町田駅近くで創業した馬肉専門の老舗・柿島屋の名物は、新鮮な馬刺しなど馬肉を使った料理です。コロナ禍で飲食店が大変な中でも「元気にお店をやっています」という思いも込めて、今回親子3代で撮影に応じたといいます。柿島屋の柿島祐美子さんは「料理の紹介の本はあるが人物をというのはなかったので、母と娘と載ってうれしい」、栞里さんも「(雑誌に)初めて載りました。ちょっと照れくさいですね」と話しました。また、祐美子さんは「コロナもあって足が遠のいた人もいるので、これを見て思い出していただいたら」と話しています。同じく顔写真が掲載された書店・久美堂の井之上健浩社長は「掲載がきっかけで来てくれたと言われると私も店の従業員もモチベーションにつながる。そういった意味ではすごくプラスに働いてくれると思う」として、読者だけでなく掲載される店にもよい影響があると話します。

 地元にこだわった新感覚のガイドブックは自分たちの住む街を見直す一つのきっかけとなりそうです。