17日間に及ぶ東京都知事選挙は折り返しを迎えました。各候補者の前半戦を振り返るとともに、今後の選挙をどう臨んでいくのか取材しました。

現職の小池百合子候補(71)は、告示日に自身の確認団体の事務所で「もっと良くなる『東京大改革3.0』。これを引っ下げ、この戦いを進めさせてもらう」と第一声を行いました。選挙戦初の土曜日、22日には八丈島を訪れ、牧場を視察するとともに、今回の選挙では初めての演説を港で行いました。小池氏は「この島は大事、東京にとって大事。私はいつも選挙の時には早々に島に伺うようにしている」と語りました。また、翌日には奥多摩町で小河内ダムを視察した後に奥多摩駅前で「消滅可能性のある町ではなく、むしろ元気な町として日本中に知らしめていく」と訴え、「地域を発展させる」と意気込みました。「公務を最優先」とする小池氏は6/24(月)に2つ、6/25(火)に5つ、6/26(水)に5つと連日公務をこなしました。そして6/28(金)の会見で、今後も公務と選挙の“二刀流”を続けていく意向を示しました。小池氏は「あんまりべらべらしゃべると戦略じゃなくなるということもあるが、公務と選挙の二刀流は基本的に変わらない。しっかり実績、公約を訴えていきたい」と語りました。

新宿区の事務所前で第一声を行った広島県安芸高田市の前市長・石丸伸二候補(41)は、「下町人情ツアー」や「第二の故郷・西武線ツアー」など日ごとにテーマを決めて毎日10カ所もの遊説を行いました。その中で特に強調していたのが「成長戦略として、思い切り教育に振ります」(21日・吉祥寺駅前)、「教育への投資」(22日・江東区)、「教育分野に投資します」(23日・池袋駅前)、「教育に投資して、経済の力を高めていきます」(24日・中央区)など、主な訴えを「教育への投資」に絞り、繰り返し続けました。また、街頭演説を終えるとインターネット戦略にも力を入れ「今6万人が見ている。6万人の力で世界を動かしてください」と支援者らに向けてライブ配信を行います。石丸氏は「(広島から東京に来た中でどうやって存在感を示していくかといえば)手段としてはまさにここに存在するYouTube。ネットの力をうまく活用していく」と語りました。石丸氏は28日は通勤客などが行き交う新橋駅前などを回り、今後の戦略について聞くと「秘策はない」と答えました。石丸氏は「これまで通り。できることは全部やる。余裕をかましている場合ではない。雨が降ろうとやりが降ろうと、できることをやる。ベストを尽くす」と話しました。

新宿区の防衛省の前で「まず第一に、安全で都民の暮らしが豊かになる、そういう東京をつくりたい」と訴えて戦いのスタートを切ったのは、元航空幕僚長の田母神俊雄候補(75)です。告示後、初の土日には若者が集まる原宿駅前や新大久保駅前を回りました。さらに25日には新宿区歌舞伎町のキャバクラ店などで働く約100人と交流会を開きました。若者の支持拡大に力を入れていて、選挙戦で訴え続けたのはその所得を増やすための政策です。訴えの中で田母神氏は「私が若い頃は会社が大体アパート代の半分を出していた 今はほんの少ししか出ない。だからこれを会社に半分出してください。その分、法人税を減税しますよと。そういうことを進めたい」と語りました。また、若い人たちの声が力になっているかと問われると「次の世代を担ってくれる彼らのために頑張っていかなければいけない」と語りました。後半戦はSNSの活用にも力を入れ、若者への発信をさらに強化するとしています。28日は品川区武蔵小山の商店街を練り歩き、支持を求めました。その際、偶然遭遇したのは、同じく商店街で支持を訴えていた前参院議員の蓮舫候補(56)でした。

蓮舫氏は中野駅前での第一声を皮切りに、週末は渋谷駅や池袋駅など多くの人が集まるターミナル駅を中心に街頭演説を展開してきました。街頭では「チャレンジャーです。挑戦者です。なぜ挑戦するのか。この東京は一見華やかに見えます。でもものすごい速度で格差が広がっている。私がリーダーとなって東京都の皆さん、あなたのために東京を変えたいと思う」と訴えています。26日には伊豆大島を訪れて島民と意見交換し“島を出た若者が戻ってこない”など島特有の課題解決に意欲を示しました。蓮舫氏は「島特有の豊かさと島特有の不安と付き合っているということを、短い時間だったが私はぐっと胸に込めて都知事選に臨みたいと思った」と語りました。ここまでの選挙戦について蓮舫陣営の幹部は確かな手応えを感じているといいます。立憲民主党・都連幹事長の手塚仁雄衆院議員は「現職が負けたことのない都知事選挙ですから、あくまでチャレンジャー。ただ明確に本人は小池さんの背中を見ていると思うし、われわれとすればこの活動はあと10日間、しっかりやっていけば十分差し切れるという思いを持って毎日頑張っている」と話しています。後半戦に向けて蓮舫陣営は29日、追加の公約を発表するとしています。

<過去最多56人が立候補>

都知事選には過去最多の56人が立候補しています。現在、都内の300カ以上に期日前投票所が開設されています。都知事選挙の主な争点には災害対策、少子化対策や物価高対策のほか、小池都政2期8年への評価などが挙がっています。都知事選の投開票は7月7日に行われます。

■東京都知事選挙 立候補者(届け出順・敬称略)野間口翔(36)/澤繁実(47)/大和行男(46)/木宮光喜(71)/小池百合子(71)/内海聡(49)/石丸伸二(41)/小野寺紘毅(79)/新藤伸夫(75)/竹本秀之(68)/桜井誠(52)/ドクター・中松(96)/安野貴博(33)/清水國明(73)/AIメイヤー(51)/桑原真理子(50)/後藤輝樹(41)/河合ゆうすけ(43)/福本繁幸(57)/黒川敦彦(45)/桑島康文(62)/田母神俊雄(75)/蓮舫(56)/内藤久遠(67)/内野愛里(31)/石丸幸人(51)/尾関亜弓(43)/小松賢(36)/加賀田卓志(47)/福永活也(43)/犬伏宏明(48)/武内隆(61)/遠藤信一(59)/上樂宗之(45)/二宮大造(53)/中江友哉(32)/舟橋夢人(58)/山田信一(53)/加藤英明(65)/草尾敦(55)/津村大作(50)/横山緑(46)/前田太一(38)/南俊輔(39)/福原志瑠美(41)/木村嘉孝(49)/三輪陽一(42)/松尾芳治(46)/穗刈仁(57)/小林弘(49)/加藤健一郎(74)/ひまそらあかね(41)/向後真徳(62)/牛窪信雄(51)/古田真(77)/アキノリ将軍未満(37)