国立天文台(NAOJ)、早稲田大学(早大)、広島大学の3者は9月23日、アルマ望遠鏡を用いた観測データの中から、約130億年前の初期宇宙で塵に深く埋もれた銀河を複数発見し、そのうちの1つは、塵に埋もれた銀河としてこれまで見つかったものの中で最古となる131億年前の銀河であることを確認したと発表した。

同成果は、NAOJ アルマプロジェクトの札本佳伸特任研究員(早大 理工学術院 総合研究所 次席研究員兼任)、広島大 宇宙科学センターの稲見華恵助教らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」に掲載された。

観測技術の進歩に伴い、現在では、ビッグバンから10億年以内の初期宇宙における銀河も発見されるようになってきた。このような初期宇宙の銀河からの光は、その銀河に存在する、太陽のおよそ数十倍の質量を持った大質量星から放射される明るい紫外線である(地球に実際に届くときは、紫外線は宇宙膨張による赤方偏移で、可視光線〜近赤外線にまで引き伸ばされる)。

ただし紫外線は、銀河に含まれる塵によって大きく吸収・散乱されてしまう性質があるため、可視光線〜近赤外線での観測が不可能な“塵に埋もれた”銀河も存在する。そのため、これまで初期宇宙の塵に埋もれた銀河で観測されていたのは、天の川銀河の1000倍以上といった激しいペースで星形成を行っている極めて稀な銀河に限られていたという。

今回、研究チームでは、アルマ望遠鏡による130億年程度過去の宇宙に存在したと考えられる、近赤外線で非常に明るい40個の銀河を観測し、塵からの放射と炭素イオンの輝線の分析を行うことを目的とした大規模探査プロジェクト「REBELS」で観測された銀河を研究するうちに、偶然このような塵に埋もれた銀河を初期宇宙において発見することに成功したという。

具体的には、観測対象の40個の銀河のうちのREBELS-12とREBELS-29という2つの銀河の観測データを調べていたところ、対称の銀河に加えて、それぞれの銀河から少し離れた場所からも塵からの放射と炭素イオンの輝線が強く放たれていることを発見したという。

それらは「REBELS-12-2」と「REBELS-29-2」と命名されたが、さらなる観測を目的にハッブル宇宙望遠鏡を用いての観測を行ったものの、何も観測されなかったという。これは、紫外線をほとんど放っていない、塵に埋もれた銀河から届いた光であることを示すものであるという。

また、REBELS-12-2については、観測された赤方偏移7.35をもとに宇宙論パラメータで計算を行った結果、塵に埋もれている銀河の中では観測史上最古となる約131億年前のものであることが判明したとする。

さらにREBELS-12-2とREBELS-29-2は、これまで塵に埋もれた銀河に見られたような爆発的な星形成を行っていないことも判明。130億年ほど前の宇宙で、これまでに発見されてきた多数の銀河と同程度の星形成活動しかしていなかったとみられるとのことで、今回発見された銀河は、塵に埋もれているということ以外は、これまで知られている典型的な銀河と変わりがなかったことが分かったという。

このことは、典型的な星形成活動を行う「普通」の銀河であっても、宇宙のこれほど初期においては、塵に埋もれて見えなくなってしまっている可能性があることを示すと研究チームでは説明しており、この結果は、これまでの初期宇宙における銀河の形成理論に影響を及ぼす可能性があるという。

なお、研究チームでは、このような銀河がどの程度存在し、どのように銀河全体の進化と形成に影響してきたのかをより統一的に理解するためには、さらなる観測が必要だとし、アルマ望遠鏡によるさらなる探査や、2021年12月18日に打ち上げられる予定のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いた大規模な探査と、それらによる銀河の形成に関する統一的な理解の進歩が待たれるとしている。