最近、シニア起業の話がテレビや雑誌で報じられるようになりました。実は、筆者も先般、シニア起業の成功者の一人として日経産業新聞に特集記事が掲載されました。今回は、その際に話しきれなかったことを中心に失敗しない起業方法とやってよかったこと、やらなくてよかったことを紹介したいと思います。

日本人が企業を躊躇する理由

そもそも、日本は起業のリスクが高く、軌道に乗りにくい国でした。起業して10年生き残る企業は1割もないという調査データも出ています(詳しくは「企業の生存率」で検索してみてください)。しかも倒産や廃業による赤字は経営者が補填をする文化であるため、起業で失敗すると、大きなダメージが残りやすいです。

そして、若ければ起業に失敗してもまたサラリーマンに戻れる可能性もある程度ありますが、シニアで起業して失敗すると、どこかの企業に再雇用という可能性はかなり低いのではないでしょうか。つまり、確実に成功する方法を取らないと、シニア起業はかなりリスクがあるのです。

例えば、50歳で起業して10年しかもたなかった場合、60歳で無職になる可能性もあり、その時点では年金をあてにした生活も厳しいのではないでしょうか(皆さんがもらえる年金を是非調べてみてください。手に職を付けることはとても重要であると感じるはずです)。シニアで起業した場合、できれば健康寿命の限界まで働き、利益を出し、引退後の資金を貯金したいと思うのではないでしょうか。
40歳で起業した当初は誰も会ってはくれなかった

さて、筆者の吉政創成は創業から10期連続で増収を実現しました。本当にお客様やパートナー、アシスタントに恵まれた10期でした。ありがとうございます。

今だから、「吉政さんは商才があるから、うまくいくんだよ」「吉政さんは商売が上手だからね」と思う人もいるかもしれませんが、起業当初は「吉政さんは、終わったな」って思った人が多かったでしょう。

筆者が起業したのは40歳。サラリーマン時代は名前が知れた会社でマーケティング責任者をしており、メディアにもよく出ていましたし、集まった名刺の数は2万枚近かったと思います。

そんな状況でしたが、「起業したのでご挨拶に行きたい」とメールをしても、返事は応援メッセージばかりで、ほとんどは会っていただけませんでした。その理由は「起業したけど仕事がないんだろうな。きっと仕事をごり押しされるんだろう」と思われたからだと思います。もっとも、所属会社のブランドがあっても、自分自身のブランドが足りなかったのかもしれません。
シニア起業で確実に軌道に乗せる方法

しかしながら、結果的に初年度の年商は2000万円を超え、その後も増収を続けることができ、軌道に乗ったと言えると考えています。

ここから本題に入りますが、そんな筆者が考える、確実に起業を軌道に乗せるための方法を紹介します。シニア起業を考える方はぜひご一考ください。
○(1)絶対にもうかると確信できるビジネスモデルができるまで起業しない

起業すると、想定外のことがいろいろと起こるので、もうけは想定の半分程度になると考えたほうがよく、ぼろ儲けできると思えるくらいでないと、正直に言って厳しいです
○(2)副業で起業の練習をして、これだけ儲かるなら起業したほうがいいよねと思えるレベルにする

起業して本腰を入れないと軌道に乗らないと考える方もいるでしょう。理屈としては正しいですが、実際はスケールアウトするビジネスモデルでないと厳しいので、小さく副業して、起業時に大きく事業が拡大するモデルでないと、立ち上げ時に大きな資金と大量な時間が必要な高リスクな起業になります。止めませんが、筆者ならやりません。
○(3)できればサブスクリプションモデルで固定費が少ない起業モデルを考える

私の本業のマーケティング・アウトソーシングサービスは、今でいうサブスクリプションモデルです。起業当時は月額払いのマーケティング支援サービスは存在していなかったので、画期的だったと思います。当時、周囲の人はそんなの無理と考えていたはずです。しかし、今では多くの企業が利用しています。どうやってこのサービスを作ったのかについては、本連載の最初のほうに書いているので、読んでみてください。

固定費が多いと、赤字になりやすいです。ちなみに、筆者は起業後7年くらいオフィスもありませんでした。アシスタントさんは全員リモートワークです。先進的というか、固定費の増加を避けたかったのです。アシスタントさんへの支払いも成果出来高ではなく、作業出来高払いにしました。

「シニア起業で確実に軌道に乗せる方法」をまとめると、固定費が少なく楽勝で儲かるモデルを作って、副業で試験的にビジネスを回してみて、成功する確証を得てから起業しましょうという話です。
足りない能力を補うビジネスモデルをつくる

「そんなモデルなんかできないよ!」という方がいるかもしれませんが、断言します。そう思う方はそのモデルに気が付いていないか、能力が足りないか、その両方です。筆者もそうでしたが、うんうん考えて、お散歩もたくさんして、時間をかけたのですが、ひらめいてからモデルができるまでの時間は数時間でした。結局気が付くかどうかなのです。そしていいモデルが出来ても能力が足りない場合は、割とあると思います。

しかし、思うのです。能力が足りないのに起業しても、ビジネスが回せないので、起業時期を遅らせるしかないです。しかし、その遅らせたことでチャンスを逸することもあります。つまり、起業前から腕を磨いておくことがとても大事ということです。

ここで大きな気づきになる、大切なことを述べます。足りない能力を補うモデルにすればいいのです。例えば、私はサラリーマン時代からアイデアの発想力と実行力が高い一方、議事録の脱字や品質を100%近くまで持っていくことは苦手でした。つまり、このまま起業しても低品質なサービスになってしまっていたはずです。

そこで、私が作ったモデルは「Draft納品」です。ほぼ完成品ですが、品質保証はしていません。その分、早くて安いのです。早くて安いのですが、うちの工数も少ないので、利益は確保できます。しかも、お客様がそのDraftをベースに完成させていくので、お客様のプロジェクト関与度も高くなるので、お客様とのいいチームワークができます。

これが、当社の契約年数が平均7年という理由なのです。この弱点を補うようなモデルにぜひ気が付いてほしいです。なかなかいい発想の転換ですよね。結局、これに気が付いたことで、筆者のビジネスは大きく変わったのです。
起業してやってよかったこと、やらなくてよかったこと

それでは最後に、起業してやってよかったこととやらなくてよかったことを紹介しましょう。
○(1)お客様と飲みに行かない

お客様と仲良くなるのは重要ですが、非生産的な飲み会は拘束時間が多く、癒着しやすく、儲からない仕事もやらなくならなくなるので、行かないようにしました。お客様に怒られることもありましたが、代金を支払っていただいているお客様の仕事が行列になっていますので……と断っていました(実際にそうでした)。
○(2)自宅以外のライブラリーで仕事をする

自宅で仕事をすると自分のペースが崩れて自滅する人が多いです。図書館や有料ライブラリー、コワーキングスペースの利用をお勧めします。事務所を借りると固定費がかかるのであまりお勧めしません(赤字の元です)。
○(3)良い服と良い靴を買う

無理のない前提で、嫌味でない程度に良い服と良い靴を買うのは、羽振りがいいことの証明です。事務所を借りるのと同じ効果があると思っています。羽振りがいいと良いお客様が来てくれやすいです。
○(4)セミナー講師やメディアでの連載を増やして露出を上げる

個人事業は社会的信用が少ないため、セルフブランディングで露出を上げることをお勧めします。筆者も最初は、こうしたメディアでの連載ゼロでした。当初は飛び込みで執筆の企画を出していました。

そんな私も今は連載が20本を超えました。昔は1本半日かけていましたが、今は、30分で書けるようになりました。何事も慣れですね。このコラムは35分で書けました(コラムを書く際にストップウォッチで計ってます。すべての作業はストップウォッチで計ると、効率が上がります)。セルフブランディングの高め方についてはこちらをご覧ください。

筆者の話は以上です。何かの参考になれば幸いです。それでは今日はこの辺で。

著者プロフィール

○吉政忠志
業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、プライム・ストラテジー株式会社 取締役、一般社団法人PHP技術者認定機構 代表理事、一般社団法人Rails技術者認定試験運営委員会、BOSS-CON JAPAN 理事長、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事を兼任。