ラグジュアリーSUV市場で独走状態? レクサスの改良版「RX」に試乗

ラグジュアリーSUV市場で独走状態? レクサスの改良版「RX」に試乗

高い人気を誇るレクサスのミドルサイズSUV「RX」。ラグジュアリーSUVの先駆者として1998年に登場した初代以来、北米でも日本でも好調な販売をキープし続けてきた。2015年に4代目として登場した現行モデルは、2019年8月にマイナーチェンジし、「洗練されたデザイン」「動的性能の向上」「新技術とナビゲーション」という3つのポイントで進化したという。混戦模様のミドルサイズSUV市場の中で、新型RXはライバルとの差をさらに広げることができたのか。神奈川県で開催された試乗会に参加して確かめてきた。

○ちょっとだけエレガントに変身

「今回の新型RXは、少しエレガントな顔つきにしました」と語るのは、RXの製品企画を担当した中野聡主幹。「現行RXのフロント部分については、中国のユーザーからは『もっとアグレッシブに』、米国からは『もう少しマイルドに』、そして、日本からは『ちょうどいい』との評価を頂いていました。新型は、ちょっと米国寄りの表情になったかもしれません」とのことだ。

マイナーチェンジ前のモデルには、バンパー左右に「ほうれい線」のような縦方向の強いラインが入っていた。このラインが、新型ではダミーのサイドグリルに変更となっている。その下にコンビネーションランプを配することで、上品さが増した印象だ。スピンドルグリル自体も、「RX450h Fスポーツ」というグレードでは漆黒のFメッシュタイプ、「RX450hL」ではL字モチーフのメッシュを採用し、細かな作り込みがなされている。

今回試乗できたのは、RXシリーズのトップモデルとなるRX450hのスポーティバージョン「Fスポーツ」と、3列シート7人乗り仕様の「RX450hL」だ。

走り始めると、2台とも、細かな凹凸のある路面や継ぎ目部分を通過した際の微振動が減っていて、フラットな乗り心地がキープされているのに気がつく。中野主幹によると、「スポット溶接の打点数と構造用接着剤の接着範囲を拡大し、剛性をさらにアップさせたボディ、路面の高周波振動を低減するフリクションコントロールダンパー、減衰力が電子的に連続可変するショックアブソーバーを追加した足回りなどのおかげ」らしい。

Fスポーツは、さらに高性能なパフォーマンスダンパーや電動アクティブスタビライザーを装着している。ステアリングを切った時の反応がアップしていると同時に、より高いフラット感が保たれていて誠に気持ちがいい。

パワートレインは両車共通。最高出力193kW(262PS)、最大トルク335Nmを発生する3.5リッターV6エンジンに、フロント123kW(167PS)/335Nm、リア50kW(68PS)/139Nmの2モーターを組み合わせた「E-Four」(電気式4WDシステム)ハイブリッドシステムを搭載する。

アクセルを踏み込むと、強烈ではないがフラットで伸びの良い加速感を伴ったパワートレインで、RXのキャラクターにぴったり。V6エンジンに主動力を受け渡した際に聞こえる心地よいビート音も、オーナーには嬉しいところかもしれない。

インテリアを見ると、Fスポーツ専用の鮮やかなレッドや、hLの「オーカー」と呼ばれる落ち着いたタンの皮内装は上質で、やはりこちらもキャラクター通りの仕上がりだ。

米国の“サッカーマム”(米国で子供にサッカーを習わせる母親、転じて教育熱心な母親を意味する言葉)たちに愛される3列シートのSUVは、海外モデルだけでなく、マツダ「CX-8」など、国内モデルでも選択肢は増えつつある。RXはボディを110mm延長して3列目シートを取り付けているが、大人が乗ると体育座りを強いられる。それでも、「スペースは狭くてもミニバンよりは好ましい」という考えをお持ちのユーザーにはOKだ。

ダッシュボードのデザイン構成は、基本的には2015年にデビューした現行モデルをベースとするだけに、デジタル画面を多用する各社の最新モデルに比べ、少し遅れている部分かもしれない。ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)スイッチも、古いレバー式のままだ。タッチ式になったナビゲーション画面は約18センチ前方に移動させ、ドライバーの手が届きやすいよう工夫してある。

新型RXが採用する新技術としては、小型化したヘッドライトが採用する「AHS」(ブレードスキャン・アダプティブ・ハイビームシステム)に注目したい。試乗会では、わざわざ別室を用意し、AHSのデモンストレーションを行っていたほどの自信作だ。

仕組みとしては、光源である高速で点滅するLEDを、ブレードミラーの回転に同期させて配光を制御するというもの。安全性を追求するヘッドライトの技術としては世界初だ。試してみると、壁面に立つ人に対してAHSは光を当てるが、人がヘッドライトに向けて懐中電灯を照らすとその部分をすぐに遮光する。より遠くの歩行者を早く認識するとともに、対向車や先行車を眩惑しないというこの技術は、影絵や回り燈籠の最新版といえるかもしれない。

試乗を終え、前出の中野主幹に再び話を聞いた。話題はレクサスの立ち位置と、ライバルと目されるジャーマンスリー(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)についてだ。

「レクサスはまだ若いブランドで、位置付けはまだはっきりと決まっていないんです。ジャーマンスリーの真似をするわけではなく、同じ土俵で戦うわけでもありません。ただし、横目では見ています。実際、RXはジャーマンスリーや米国のビッグスリーよりも売れています。ずっとトップを走り続けているので、新型を出す際のライバルは『自分』なんです。日本ならではの何かをつかみたい、という思いは明確で、過去の自分をどうやって超えるかという難問に向き合い、いつも答えを探しているんです」

「ラグジュアリー感について考えると、RXに追いついているライバルはまだいないと思います。一方で、走行性能や品質については、ライバルはすぐ直後に迫っています。あぐらをかいているわけにはいきません」。そう語る中野主幹には、5世代目RXのイメージが、すでにできあがっているのかもしれない。

○著者情報:原アキラ(ハラ・アキラ)
1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。


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