広報にいざ(埼玉県新座市)

令和3年9月号(No.1053)

■慢性腎臓病
◇はじめに
慢性腎臓病(ChronicKidneyDisease:CKD)は、何らかの原因により腎臓機能障害(尿異常所見や推定糸球体濾過量(eGFR)の低下)が3か月以上続く状態のことを指します。日本のCKD患者は約1,300万人といわれ、日本人の約10人に1人の方に何らかの腎臓機能障害が存在すると考えられています。
CKDは機能障害の程度によって、次の3つのパターンに分けられます。
(1)内服加療は必要とせず、摂生した生活を送ればほとんど進行しない
(2)しっかりした食事制限と内服加療を行えば、ある程度腎機能障害の進行を抑制できる
(3)厳格な制限と治療を行ったとしても、人工透析等の腎代替療法が必要となってしまう。
CKDは初期の場合、ほとんど症状が出現しません。逆を言えば、浮腫や高血圧などの症状が出現してから医療機関に受診される場合、(3)のようなケースである可能性があります。CKDは早期発見が重要であり、多くの場合、健康診断で指摘されるため、定期的な健康診断の受診をお勧めします。

◇慢性と急性
慢性腎臓病(CKD)という疾患に対して、急性腎臓病も存在します。こちらは数時間~数日のうちに浮腫、高血圧、全身倦怠感等の症状が認められ、急速に腎臓機能障害が進行します。現在、このような病態は急性腎障害(AcuteKidneyInjury:AKI)と呼ばれています。

◇腎臓機能障害の指標
健康診断で腎臓機能を評価する場合、多くは次の3項目が使用されています。
(1)尿所見
(2)血清クレアチニン値(Cre)
(3)推定糸球体濾過量(eGFR)
腎臓病はほとんどの場合、尿異常所見(たんぱく尿や血尿)がいちばん最初に認められます。そして、尿異常所見を放っておくと、腎臓内で身体の老廃物を尿にこし出すフィルターのような働きをしている「糸球体」といわれる器官が壊れ始め、老廃物が身体に蓄積します。その中でも代表的なものが血清クレアチニン値(Cre)です。Creが上昇している場合、CKD疑いと診断されます。
また、最近では推定糸球体濾過量(eGFR)という指標が使用されるようになりました。これは、計算式に個人の性別、年齢、Creをあてはめて算出される値です。eGFRが60を下回ると糸球体のろ過する能力が低下したとされ、やはりCKD疑いと診断されます。しかし、この値は個人の体格によって差が生じるので、60以下でもCKDというわけではありません。

◇CKDの原因
慢性糸球体腎炎と糖尿病が原因になることが多いですが、高血圧や高尿酸血症も原因となります。また、身近な例として、消炎鎮痛剤(ロキソニン等)の常用も原因となり得ます。

◇CKDの問題
腎臓は物を言わない臓器の1つです。何も症状がないことから医療機関を受診せず、知らない間に腎機能が低下していて結果的に人工透析が必要になった、というケースが増えていることが問題のひとつです。
また、CKDは脳血管障害(脳梗塞、脳出血等)や心疾患(狭心症、心筋梗塞等)の危険因子になるということです。
透析療法が必要な患者さんを減らす、脳・心血管合併症発症を予防するという2つの意味で、CKD早期発見は重要です。

◇おわりに
現在、健康診断では腎臓病に対して厳しめの基準を設定しています。しかし、この疾患の早期発見や進行予防の重要性を考えますと当然のことです。早期に発見できれば大事に至らないこともあります。CKDの疑いがあるとされても、不安になることなく腎臓専門医にご相談いただければと思います。

朝霞地区医師会 明石真和
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