しぶや区ニュース(東京都渋谷区)

令和2年(2020年)11月15日号

LGBTQが直面する社会課題を知ろう。渋谷区パートナーシップ証明取得への思い。

■渋谷のラジオで出張インタビュー
通算50組目となる渋谷区パートナーシップ証明を取得した、レスリー・キーさんとジョシュア・オッグさんに、証明取得への思いなどについて話を伺いました。

・写真家 レスリー・キーさん
「愛するパートナーの存在により、今とても強くなったと感じています。」
・英語教師、ファッションモデル ジョシュア・オッグさん
「どんな愛も平等で変わりはないということを、もっと多くの人に理解してもらいたいです。」

◆出会いは、LGBTQ(エルジービーティーキュー)をサポートするプロジェクト
◇渋谷区パートナーシップ証明の取得、おめでとうございます。まずは2人の自己紹介と、出会いのきっかけを教えてください。
ジョシュア:僕が日本に来たのは、通っていたアメリカの大学のインターンシップ制度で岡山大学に留学したのがきっかけです。日本に来る前から、アメリカでLGBTQ※の人権のために声を上げる活動をしてきましたが、日本にいる間は日本のコミュニティー活動をサポートしたいと思い、インターネットでさまざまな情報をチェックしていたんです。その中で、レスリーが参加している「OUT IN JAPAN」という活動を知って、広島での撮影会に参加したのが、レスリーとの出会いです。

レスリー:私は写真家として20年以上、東京で活動してきました。広告や雑誌の撮影の傍ら、平成27年から参加している「OUT IN JAPAN」は、LGBTQの人たちのポートレートを撮影してさまざまな場所で発表するもので、セクシュアル・マイノリティーを身近な存在として感じてもらい、正しく理解してもらうきっかけをつくるプロジェクトです。ジョシュアが参加したのは平成28年で、13回目の撮影会でした。彼に会って、私はいわゆる一目ぼれで、自分の人生に必要な人だ、と直感しました。その時は友人としてなのか、恋人としてなのかは自分でもよく分からなかったのですが、次第に第一印象だけでなく、彼の話し方や考え方にもひかれていきました。

※LGBTQ:Lesbian(レズビアン…女性として女性が好きな人)、Gay(ゲイ…男性として男性が好きな人)、Bisexua(lバイセクシュアル…同性にも異性にもひかれる場合のある人)、Transgende(rトランスジェンダー…心と体の性に不一致を感じる人)、Questioning/Queer(クエスチョニング/クイア…自分の性が分からない、または決めたくない人)の頭文字を取った、セクシュアル・マイノリティー(性的少数者)の総称の一つ。

◇それから、ジョシュアさんがアメリカの大学を卒業されて、数年後にパートナーとなり、日本で生活されるようになったわけですが、今暮らしている渋谷について、どんな印象をお持ちですか?
ジョシュア:Fun、Smart、Clean、Innovative、Evolving(楽しくて、活発で、清潔で、革新的で、進化している)かな。Funというのは街のいろいろな場所で、コンサートやイベント、展覧会が開催されているところ。InnovativeやEvolvingというイメージは、渋谷駅の地下にできた雨水貯留施設のニュースを見て驚いたからです。

レスリー:私にとっての渋谷は出会いの街。撮影や展覧会、トークショーなどさまざまなことを渋谷でやってきて、それらを通じた出会いから、たくさんのインスピレーションを受けてきました。いわば、パワースポットですね。また、渋谷は本当に便利な街ですから、一度この街のとりこになると離れられません(笑)。また、日ごろから皆さんが掃除をして街をクリーンに維持していることも素晴らしいと思います。

◆パートナーシップ証明の取得は“スタート”
◇今回、2人が渋谷区のパートナーシップ制度を利用して証明を取得しようと思ったのはなぜですか?
ジョシュア:昨年、僕のアメリカの実家でプロポーズを受けて婚約したのですが、日本には同性同士が結婚できるシステムがありません。そんな時、テレビの取材を通じて、渋谷区のパートナーシップ証明を知りました。現状で最善の方法ですし、僕たちがこれを取得することで、LGBTQコミュニティーの人々にも勇気を与えられるのではないかと思ったからです。

レスリー:そうですね。私たちのための証明というだけではなく、誰もが普遍的な人権を持っているのだということ、一人一人を認め合う社会をどうつくっていくかということを、みんなで考えてもらうきっかけにもなるのではないかと思いました。

◇パートナーシップ証明を取得したことで、何か心境の変化や2人の関係に変化はありましたか?
ジョシュア:正直、物足りない気持ちです。これは婚姻届とは違って法的に何かを保証してくれるものではないからです。たとえば、銀行や不動産会社での手続きの際、あるいはパートナーが入院したり手術をしたりする時には、この証明が僕を法的にレスリーの家族だと保証することはできません。ただ、これは2人の人生にとっての始まりであることには変わりありませんから、取得できたことはうれしいですね。

レスリー:平成27年に渋谷区が、日本で最初にこのパートナーシップ制度を始めたことは、LGBTQコミュニティーの仲間たちにとって、とても大きな希望となりました。渋谷区をきっかけに全国の自治体でも導入が広がり5年たちましたが、当初期待していたほどの規模ではありません。渋谷区でも私たちで通算50組目というのは少ないと思います。それは、やっぱりこれが国の認めた制度ではないこと、つまり先ほどジョシュアが言ったように、本当の婚姻制度ではないからだと思います。それでもなぜ私たちが、渋谷区パートナーシップ証明を取得したのかというと、これが小さな一歩であり、その積み重ねでいつか婚姻の平等が実現すると信じているからです。私たちのこの表明をきっかけに、より多くの人や自治体に理解を深めてもらい、婚姻の平等実現への取り組みが進んでほしいと心から願っています。

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