広報えどがわ(東京都江戸川区)

令和5年3月15日号

令和5年第1回江戸川区議会定例会会期:2月15日から3月24日

令和の時代が幕を開けてから、はや5年目を迎えます。私たちは今、激しい変化の渦の真っただ中にいます。これまでコロナ禍をはじめ、大型台風などの災害や物価の高騰など幾多の危機が押し寄せましたが、本区は区民の皆さま、区議会議員の皆さまと共に手を携えながらスピード感を持って対応に当たり、その危機を乗り越えてきました。今後も区民の皆さまの安全・安心のため、変化に柔軟に対処しながら区政を推し進めていきたいと、新年度予算のご提案に当たり決意を新たにしているところです。

■変化の時代に前進を続ける積極的な新年度予算

さて、その新型コロナウイルス感染症についてはまだ危機を脱したとは言えませんが、着実に次のステージに移行しつつあります。感染症法上の位置付けの見直しやそれに伴う医療現場の対応、ワクチン接種の体制など国における検討を注視しながら、必要な対策を必要な時に迅速に実行できるよう準備を進めてまいります。
また、社会経済活動が徐々に再開される中、区民の皆さま、区内事業者の皆さまの活動についてもコロナ禍からの回復とさらなる発展を誰もが願うところです。本定例会にお諮りしている令和5年度の当初予算は、こうした情勢を背景に、時代の流れを捉え、区が目指す「ともに生きるまち」の実現に向けた扉を開く、積極的な投資予算として編成しました。
歳入の多くを占める特別区税・財政調整交付金がともに過去最高額となることを背景に、一般会計の予算額は2913億円、特別会計と合わせた総額は4195億円といずれも過去最高額としました。
物価の高騰や円相場などの影響はありながらも、社会経済活動の再開により日本全体の景気が持ち直していくことが期待されています。区内の景気をさらに押し上げるため、区内事業者に支出する見込みの予算額も令和4年度の当初予算より積み増しを行いました。
状況が目まぐるしく変わる時代において前進を続けていくためには、時流を読み、その流れに即した取り組みを実践していくことが必要です。そのための重要なテーマとなるのが、「SDGsの推進」「脱炭素・気候変動への取り組み」そして「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進」の3点です。
この三つの柱に沿って、お諮りしている新年度予算の重点施策について、ご説明いたします。

■「誰一人取り残さない」共生社会の実現に向けて

1点目の「SDGsの推進」については、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を具現化する施策をさまざまに展開します。
まず、人と顔を合わせることや外出することなどに抵抗があるひきこもり当事者の方に向けては、「メタバース」つまり仮想空間を活用した居場所を用意し、素顔や本名を出さなくても交流できる仕組みを整えます。またヤングケアラーについては、今年度実態把握のために実施した区立中学生との個別面接の結果を踏まえ、コーディネーターの配置の拡充など支援体制を強化します。また障害者や高齢者などのうち、災害が発生する恐れがある時に自ら避難することが困難な方に対しては、個別の状況に応じた避難計画の策定を加速させるために体制を強化し、全庁を挙げて取り組んでまいります。

さらに、働く意欲があってもニーズに合う仕事に結び付きにくかった障害者や高齢者などに向けては、それぞれの特性や経験を生かせる仕事の開拓とマッチングを一体的に行うネットワークを構築します。
また、経済的な理由で弁護士に相談などができない方に対して支援を提供している「法テラス」と協定を結び、グリーンパレスに「法テラス指定相談場所」を設置します。これまで「法テラス」のサービスを受けるには区外まで行く必要がありましたが、今後は身近な場所で困り事の相談から解決までをトータルで対応できるようになります。
こうした施策を一つずつ積み重ねていくことで、私たちが目指す「ともに生きるまち」の実現につなげてまいります。

■脱炭素社会を実現するため「カーボン・マイナス都市宣言」

2点目は「脱炭素・気候変動への取り組み」です。
本区は気候変動の原因である温室効果ガスの排出量を削減し、2050年度までに、実質ゼロではなくさらに進めて実質マイナスにすることを目指し、「カーボン・マイナス都市宣言」を行いました。
それに向けて新年度は、住宅への太陽光パネル設置や蓄電池の購入、電気自動車などに対する補助金制度を新設するとともに、区施設への太陽光パネルの設置促進や中小企業向けのセミナーの実施、気象防災アドバイザーによる区民向けワークショップの実施など、ハード・ソフトの両面から施策に取り組みます。
これらの施策は、今年度、無作為抽出方式で実施した「えどがわ気候変動ミーティング」において区民の皆さまから頂いたご意見も参考に検討したものです。今後も区民の皆さまや区内事業者の皆さまと共に脱炭素社会の実現を目指します。