広報あつぎ(神奈川県厚木市)

第1390号(2023年1月1日発行)

■久保寺 真仁
KUBOTERA MASATO
(22・毛利台出身)
千葉工業大学 未来ロボティクス学科
プロフィル:2000年生まれ。毛利台小・小鮎中学校出身。小・中学生のときにロボカップで優勝し、教育委員会表彰を受けたことも。多くの人に関心を持ってもらうため、自身が手掛けたロボットの設計図はインターネットで公開している。

▽物作りを始めるきっかけに
頭部に組み込まれたカメラがサッカーボールを認識し、自動でゴール目掛けて蹴り進めていく。接触して倒れても起き上がり、まるで人間のように全身でバランスをとりながらシュートを放つ。4体のロボット同士が勝敗を競う「ヒューマノイドサッカー」。昨年7月、タイで開かれた世界大会で、千葉工業大学のチームが優勝を果たした。ロボット本体の設計を担った久保寺さんは「小学校の卒業文集に書いた夢が、やっとかないました」と、はにかんだ。
久保寺さんがロボット作りに出合ったのは10歳の時。ブロック玩具での物作りに没頭し、次第にモーターなどを取り付けて動かすようになっていった。「頭の中のイメージを形にするのが楽しくて、作っては壊しを繰り返していた」と振り返る。小学5年から高校生までは自作ロボットの大会で好成績を残し「より人間に近い物を作ってみたい」と今の大学に進んだ。これまで、製作をほとんど一人で手掛けてきた久保寺さん。大学に入り、知識や技術が異なるメンバー同士の意思疎通や開発の資金繰りなど、戸惑うことも多かった。しかし、日を重ねるごとに、自分の苦手な分野やできないことを支えてくれる仲間のありがたみを感じるようになっていった。
コロナ禍で3年ぶりに開催された昨年の世界大会。ロボット本体を作るリーダーを務めた久保寺さんは、24人のメンバーと細部に工夫を凝らした。前回大会の映像を繰り返し見て、故障せず効率よく動けるよう改良を重ねた。迎えた大会本番、ロボットたちは最後までピッチを動き回り、他のチームを圧倒した。久保寺さんは「ずっと続けてきてよかった。仲間がいてくれたからこその優勝」と胸を張った。
4月からは、大学院で学びながら世界大会の連覇を目指す。そんな久保寺さんには新しい夢がある。「今の自分があるのは、先に研究してきた人たちや支えてくれた親のおかげ。自分の知識や技術を伝え、誰かが物作りを始めるきっかけになる仕事がしたい」。ロボット作りで出会った人たちや得てきた経験への感謝を胸に、久保寺さんの歩みは続いていく。

問合せ:広報課
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