広報やおつ(岐阜県八百津町)

令和5年1月号

■学校全体の現状
◇それぞれの力を伸ばす
AIドリルや学習アプリが一人一人の得意分野と苦手分野を分析することで、子どもたちそれぞれの力が最も伸びるような最適な学習ができています。

◇自分の意見、みんなの意見を共有する
モニターを使って子どもたちのタブレットの画面を映すことで、自分の考えをより簡単に、みんなで共有できるようになりました。また、他の意見を聞いて考えが変わった場合には、臨機応変にタブレット上で資料を修正するなどタブレットの良さを活かした授業が展開されています。さらに、タブレットで撮影した写真や動画を発表資料に組み込むことで、自分の考えを発表する際の表現の幅が広がりました。アプリを使うことで全員が同時に同じノートに考えを書き込めるようになり、活発な意見交換を促進しています。

◇学びの場所・機会が広がる
オンライン会議アプリを活用することで、通学が困難な場合でも、家にいながら授業を受けられます。また、学校にいながら世界中の人と交流ができるなど、子どもたちの学びの機会が増えました。

◇学校・家庭・地域の連絡システム
学校と家庭、学校と地域の連絡システムを導入し、子どもたちの毎日の体調報告や文書の配布をデジタルでできるようになりました。また、このシステムで保護者へのアンケートも実施できるようになり、より密に連携が取れるようになりました。

■授業での活用の様子
◇算数
「面積の求め方」のテーマでタブレットが使われていました。まずはタブレットに自分の考えをまとめます。タブレットを見せながら自分の考えを話し、考えが変わればタブレットで修正します。説明を聞いて分からないところは、相手のタブレットに直接書き込んで、どこが分からないかを伝えていました。
全体での発表では、先生のタブレットに考えを提出し、大型モニターで比較して見ることができます。自分と違った解き方を聞くことで、新しい視点に気付けます。人によって様々な解き方が出てくる問題では、タブレットを使った考えの共有が有効だと感じられます。

◇理科
「水の流れるはたらき」をテーマに実験をしました。実験前に、水が流れるとどこに砂が溜まり、どこが削られるか予想します。タブレット内にクラス全員が書き込めるノートを作り、予想を書き込みました。みんなの予想に自分の予想を付け足すなど、子どもたちと先生だけでなく、子ども同士の考えの共有の場としてタブレットが使われていることが感じられました。
実験結果の発表では、タブレットで撮影した水の流れの動画を使って、より自分の考えが伝わるように工夫していました。最後に実験前の予想、実験結果、発表資料をまとめて提出することで、タブレットがそのまま授業ノートの代わりとして活用できています。

◇技術:プログラミング
アプリでインターネットのホームページを作成しました。アプリの中ではアニメ形式でストーリーが展開されるため、ストーリー上の問題を解決するためにプログラミングを使用するといった目的意識を持った授業が展開されています。子どもたちからは、「プログラミング楽しい!家でも勉強したい!」といった声が上がっていました。タブレットがあれば、いつでもどこでも学習ができるため、子どもたちが自主的に将来必要となるスキルを学んでいく様子が感じられました。

◇シンガポールと交流
シンガポールとオンライン会議アプリでつながることで、海外と交流できるようになりました。場所が学校であることで、リラックスして会話ができ、積極性が生まれました。子どもたちはシンガポールの文化に興味津々。知りたいと思ったことを英語で一生懸命質問していました。英語の勉強だけでなく、海外の文化も知ることができ、多様な価値観について学べたようでした。
また、アプリを使って自分の英語のイントネーションの確認をしました。自分の英語が伝わるか不安を感じているときに、正しいイントネーションを学び、自信を持って交流に臨んでいました。

◇魚の授業
オンライン会議アプリで、学校と名古屋港水族館をつなぎました。タブレットのカメラ機能で実際の魚を映し出し、授業で習った内容の通りになっていることを確認しました。子どもたちは、「イワシは本当に背中が黒いんだ!」と驚いた様子。普段見られない水族館の裏側や、イワシのトルネードもタブレットを通じて見ることができました。
映像だけで伝わりにくい魚の体の構造は、煮干しを解剖することで特徴を学びました。最後には自分が解剖した結果をタブレットで撮影し、みんなで共有しました。オンラインとリアルな体験の両方の良さが活かされています。

◇スマホ・ケータイ安全教室
自分が何気なく使っているタブレットが、使い方を間違えると大きな事件に発展してしまうことをクイズや映像を見ながら学びます。タブレットはルール・マナーを守って正しく使うということや、「自分にも起きるかもしれない」という意識を持つことができたようです。タブレットを導入して、できることが格段に多くなった一方で、やって良いこととやってはいけないことを、子どもたちが自分で判断できるように毎年実施していきます。

■おわりに
ある学校の先生から「子どもたちも先生もタブレットを使わない日はありません。今ではなくてはならないツールになっています」という声を聞きました。タブレットを導入して2年で、子どもたちはどんどん使い方を学び、今では授業内外問わず、なくてはならないツールとして活躍しています。また、子どもたちだけでなく、先生にとっても授業を良くする・仕事の効率化という面で、良い影響を与えていることが感じられました。一方で、現在子どもたちが使いこなしているアプリは、授業での学習に特化したものが中心です。今後は、子どもたちが大人になって実際に使うことになるソフト(ワープロ・表計算・プレゼンテーションなど)を授業で使うことにも取り組んでいきます。
子どもたちは問題を解決するために、これらのICT技術を学ぶといった目的意識をもって学習を進め、「自分で考える」「周りに伝える」「意欲的に学ぶ」資質を身に付けていくことで、新しい時代に対応できるようになると考えています。そのために教育委員会は、今後もより一層、タブレットを使った学びの充実を図っていきます。

※GIGA:Global and Innovation Gateway for ALLの略称
※端末:パソコン・タブレットなど
※ICT:Information and Communication Technology(情報通信技術)