広報ぬまづ(静岡県沼津市)
2023年1月15日号
広報ぬまづでは、毎年1年の始まりに市長と沼津にゆかりの深い著名人や有識者が語り合う「市長新春対談」を掲載しています。今回の新春対談は、幼少期の2年間を沼津で過ごし、第27期燦々(さんさん)ぬまづ大使を務めてくださっているフジテレビのエグゼクティブアナウンサー、軽部真一さんをお迎えしました。対談のテーマは「『伝わる』ことの大切さ」。沼津市制施行から100周年を迎える節目となる年に、まちづくりをすすめる市長と、情報発信のプロである軽部さんの言葉から、みなさんもぜひ、一緒に沼津の未来を考えてみてください。
■第二のふるさと、沼津
[市長]明けましておめでとうございます。今年はいよいよ沼津市制施行から100周年という、記念すべき年です。大切な節目の新春対談に、軽部真一さんをお迎えいたしました。
[軽部]どうぞよろしくお願いいたします。昨年、燦々ぬまづ大使に任命いただき、第二のふるさと沼津に足繁く通うきっかけになりました。とても嬉しいです。
[市長]めざましテレビをはじめいろいろな場面でPRしていただき、沼津市の露出度が高まりました。軽部さんのご尽力に、心から感謝しております。燦々ぬまづ大使をお願いしたのは、軽部さんが小学校3年生から5年生の一学期まで、沼津で過ごしたという話を伺ったからなんです。
[軽部]父の転勤で沼津に来て、大岡小学校に通っていました。豊かな自然と、東京とは違う沼津の子供達の素朴さや親しみやすさに、すぐに馴染むことができました。少年時代の二年間は大人とは密度が全然違います。沼津での多くの原体験によって、今の僕があるんです。だから、沼津は第二のふるさとだと思っています。燦々ぬまづ大使になって、思い出がリアルタイムに変わりとても感慨深いですよ。
[市長]先程の撮影の際に、大岡小学校で校庭を見回されている姿を拝見し、当時を懐かしんでいるように感じました。軽部さんの後輩たちが、懸命に野球をしていましたね。
[軽部]未来を担う沼津っ子だ、と思いました。僕の沼津の思い出は、子供目線で見ていたものなので、沼津っ子には感情移入するんですよね。
[市長]沼津での思い出の場所はありますか?
[軽部]海です。沼津では夏になると毎週のように海水浴に出かけることができて最高でした。特にお気に入りの若松海岸へはよく行きましたよ。
[市長]あそこは磯遊びに最高の場所で、今もほとんど変わっていないです。
[軽部]その手前には三津の海水浴場、足を延ばせば大瀬崎や戸田もありますが、若松海岸は格別にきれいだった。生まれて初めて海の中を泳いでいる魚を見たんです。
[市長]あのエリアは「水質が特に良好な水浴場」にも選ばれるなど、小笠原や沖縄の海にも負けないくらい美しい海だと環境省のお墨付きなんですよ。
[軽部]じゃあ、10歳の頃のあの感動は正しかったんだ。水族館やお店がたくさんある賑やかな三津も、楽しいエリアでした。
[市長]今は「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地巡礼スポットとして多くのファンのみなさんが訪れています。
■トレードマークの存在が「伝わる」きっかけに
[市長]沼津は海、山、川と豊かな自然がある。道路網も整備されていて首都圏に近く、生活するにも便利。しかし、人口減少や企業の撤退などで中心市街地の賑わいが失われている。この状態を脱するために何をすべきか考えた時に、軽部さんの蝶ネクタイにヒントがあると思ったんです。みなさんお馴染みの、軽部さんのトレードマークですよね。
[軽部]もともと僕は、ニュースや情報番組を担当していて、どちらかというと地味だった。1994年スタートのポップで明るい情報を届ける新番組「めざましテレビ」と軽部を視聴者に印象づけるための、大胆なイメージチェンジが必要でした。それで、スタッフと相談してサスペンダーと蝶ネクタイで出演することにしたんです。でも秋はベスト、冬はジャケットを着るのでサスペンダーは隠れる。春になって、蝶ネクタイだけが残りました。
[市長]そして、世間には蝶ネクタイの軽部さんが浸透したんですね。
[軽部]ええ。これは僕の持論でもあるんですが、とにかく知られていないと話にならないですから。「軽部と言えば蝶ネクタイ」が定着して、普通のネクタイをしただけでいつもとは違うとニュースになったこともあるんです。
[市長]軽部さんは好きなアナウンサーランキングでも常連ですね。
[軽部]嫌いという人も同じくらいいるはずです。でも話題にならないよりいいんです。先ほど、若松海岸は沖縄や小笠原に負けない美しさだと市長はおっしゃいましたが、僕は今日初めて知りました。沼津のどのくらいの人が知っているのかな。
[市長]意外と知られていないのかもしれません。私もいろいろな情報をSNSで発信しますが、知らなかったという反応をいただくことがあります。
[軽部]海の話題になった時に、沼津の人々が「若松海岸は近場できれいだ」と繰り返し発信すれば、人は注目し、情報が伝わっていきます。関心を持てば、人は相手が言うことを理解しようとしますから。僕らの仕事でもそうですが、伝えているつもりが伝わっていないのは、とても残念なことです。
[市長]自治体も認知してもらわなければ観光や企業進出などのアクションをしてもらえず、市としてのビジネスチャンスを逃してしまいます。「沼津と言えば」というものをどう見いだし、活用して外に伝えるかが肝心だと思います。
[軽部]100周年はいい機会じゃないですか。市民がもう一度沼津の魅力を認識し外に向けて発信するのに、これほど最適な時はないでしょう。
[市長]そうなんです。この機会に、市民のみなさんがそれぞれ沼津のトレードマークを見つけ、様々な方法で内外に繰り返し発信していただくことで、より多くの人に「伝わる」ことに繋がっていけば嬉しいです。
※頼重秀一の「頼」の正式表記は旧字体です