市広報やぶ(兵庫県養父市)

2020年11月号(第200号)

新型コロナウイルス感染症の影響で、市内のさまざまなイベントが延期や中止になり、自宅で過ごす時間が増えるなど、私たちの生活は大きく変わりました。
「一円電車」も4月から運行を見合わせていましたが、明延を盛り上げようと地域が一体となり、感染症対策をとりながら体験乗車会を開催。多くの人が運行再開を喜びました。今回は、コロナ禍の中で、対策をとりながらイベントの開催に取り組む「一円電車」について紹介します。

■明神電車(一円電車)の歴史
明延鉱山は、明治42年にスズの鉱脈が発見されたことから「日本一のスズ鉱山」として栄え、スズの産出量は国内第1位、全国の90%を占めました。
明延鉱山で採掘した鉱石は、明神電車で神子畑選鉱場(朝来市)に輸送され、銅、亜鉛、スズ等の金属に分離されました。明神電車は、鉱石輸送のために整備された鉱山鉄道です。鉱石だけでなく客車で乗客も運ぶようになり、昭和27年に料金が1円に定められたことから「一円電車」と呼ばれるようになりました。
昭和62年、明延鉱山の閉山に伴って、明神電車も廃止となりました。
「鉱石の道」明延実行委員会が、平成19年11月に開催した「ふるさと明延まつり」で20年ぶりに30mの線路で一円電車「くろがね号」を運行させました。また、平成22年には、70mの一円電車明延線を整備し、平成23年4月から毎月1回の乗車会を行ってきました。
令和元年10月には、ボランティア等の協力により、折り返し運転していた線路を延長し、約150mの周回コースが完成しました。

■今年度初めて体験乗車会を開催(10月4日)
一円電車の客車「くろがね号」は定員23人。車内は向かい合って座ると前の人とひざがつかえるほどの小さな車両のため、3密(密閉、密集、密接)が避けられません。
今回の体験乗車会では、3密を回避するため、整理券を配布し、来場グループごとの乗車、1回運行するごとに消毒を行うなど感染症対策を徹底して開催しました。
来場者は「感染症対策がしっかりされていて安心して乗車できた」と話していました。

■「一円電車」を支える人たち
◇(明延区長)小林史朗さん
探検坑道を訪れた人が「一円電車は走っていないの」と乗車できずに残念そうに帰っていくのをどうにかできないかと地域の人と協議し、試行錯誤を重ね、感染症対策を徹底して体験乗車会を開催することとしました。
観光地としてコロナと共存できるようなイベントにするための第一歩となったと感じます。
明延に、電車の動く音や子どもの喜ぶ声など、活気が戻りほっとしました。
一円電車は、地域に力を与える存在です。今後の目標は、明延を「まるごと博物館」として、いつ来ても楽しめる場所にすることです。

◇(運転手兼広報・紙芝居担当)岡本崇さん
元々電車が好きで、明延の一円電車を知りました。
一円電車はもちろん、明延に関わる人たちがとても魅力的。地域が一体となり明延を盛り上げようと奮闘しています。
紙芝居で楽しく分かりやすく電車や明延について来場者に知ってもらえたらうれしいです。

「岡本さんは、一円電車まつりが開催されるたびに千葉県から来場し、乗車待ちをしている来場者に自作の紙芝居で一円電車の歴史や裏話などを分かりやすく説明しています。」

◇京都府・奈良県からの来場者
新型コロナウイルスの影響で運行しているか不安でしたが、乗車できて良かった。このような山奥で走っていることや、30年ほど前まで鉱山で動いていたと思うとすごいことだと思います。

◇朝来市からの来場者
以前から、一度乗ってみたいと思っていました。昔の人は仕事でこの一円電車を使っていたんだなと思うと感慨深いです。

■鉱石の道とは
生野鉱山、神子畑鉱山、明延鉱山、中瀬鉱山に関わる産業遺産群エリアのことです。鉱石の道は、全国有数の鉱山エリアとして、明治・大正・昭和時代における日本の近代化を支え、鉱山によってさまざまな伝統文化や地域固有の歴史が生まれてきました。

■〔中瀬〕鉱石の歴史を学ぶ講座を開催
「おとなが学ぶ、学生も学ぶみんなの鉱石の道」が10月17日、中瀬で開催され、約20人が参加しました。
これは、但馬の鉱山の歴史について学ぶ機会を作ろうと鉱石の道推進協議会が開催したものです。
参加者は、鉱石の道や中瀬鉱山の歴史、中瀬金山会の成り立ちなどについて説明を受けた後、通常は入ることのできない「石間歩坑口」を見学。
そのほか、ガイドの説明を聞きながらまち歩きを行い、鉱山について理解を深めました。

■〔国の近代化産業遺産〕明延鉱山坑道を探検
坑道は、総延長550キロあるといわれています。現在は、「探検坑道」として一部を公開しており、むき出しの岩肌や地面、削岩機や鉱山車両などを見学できます。
坑内は、1年を通して13℃前後を保っており、坑内にある「明寿蔵」では、純米吟醸酒「仙櫻」や純米酒「明延」の熟成も行われています。
見学は予約制です。詳しくは、あけのべ自然学校にお問い合わせください。
問合せ先
あけのべ自然学校
電話
079-668-0258