広報ますだ(島根県益田市)

令和3年5月号

■益田市東京オリンピック・パラリンピック自転車競技キャンプ誘致アドバイザー 特別コラムvol.2

・株式会社シクリズムジャポン代表取締役
サイクルロードレースチーム エキップアサダ監督
浅田 顕

◇脚で漕ぐ自転車は全身運動か?
季節は夏に向かっています。それは、朝家を出たときの空気でも感じる今日この頃ですね。自転車が体に優しい運動手段であることは皆さんご存知のとおりですが、更には、非常に質の高い全身運動であることをお話しします。
一般的な自転車、いわゆる「ママチャリ」は日本の自転車の代表的・象徴的モデルで、欧米の自転車先進国から見ると、実はなんとも不思議なスタイルの自転車です。どっしり座れる大きなサドル、ハンドルの前に付いた買い物カゴ、そして直角に座って漕ぐ乗車スタイルは、ごみごみした街中の数百メートルの移動に使うような日本の生活文化の中の自転車を感じさせます。一方、ママチャリでの遠出は辛いものがあります。坂はきついし、向い風が吹くと進まない、腿がパンパンになって疲れてしまうという経験を持つ方も多いかと思います。このママチャリは生活には便利ですが、体に優しい全身運動としては、実は少し物足りないものなのです。
運動としての自転車を考える時に、スポーツジムの「エアロバイク」を想像してください。エアロバイクは一見ママチャリと同じように見えますが、実際に漕いでみると上半身が少し前傾になり、脚だけではなく、お尻and背中and腕の筋肉も使っていることを感じると思います。これが本来の自転車での全身運動の形で、漕ぐ力を太もも以外の各部へ分散させることで、より長く楽に運動を続けられるのです。そのため、自転車メーカーの通勤通学車として販売される自転車は、利用距離や環境を想定してママチャリよりも乗車姿勢が前傾になるように考えられているのです。よって、自転車を運動の手段として考えるなら、ママチャリよりも通勤通学車、できればクロスバイクのようなスポーツバイクが適しているという事になります。

◇あらゆるスポーツで体力向上に使われている
このように、自転車もママチャリだけにとどまらず、タイプを選ぶことで運動としての用途が更に高まっていきます。
最近はスポーツ通勤という言葉も出てきたように、首都圏ではスポーツバイクで会社へ通勤している人口も大変増加しています。
世界は、我が国で開催されるオリンピック・パラリンピックに向け、各国各競技種目で強化活動のラストスパートに入っています。自転車アイルランドチームも、代表候補選手たちはコロナ禍における様々な対策の中、世界のトップレースシーンで活躍しながらコンディションを上げています。その中で、実は自転車は自転車競技者以外にも広く活用されているのをご存知ですか?自転車(スポーツ自転車)を漕ぐ運動は、各スポーツの専門的な動きとは異なりますが、ダメージを残さずに心肺機能や瞬発力を鍛えられるトレーニングの道具として、様々なスポーツ種目の合宿や試合会場でのトレーニング、ウォーミングアップ等に固定式の自転車が多く活用されるようになりました。また、自転車を漕ぐ能力が体力の評価とされるようにもなってきています。ただし、このレベルまでくると「体に優しい運動」にはおさまらず、鍛えたい人には怪我無くトコトン追い込める運動手段でもあるのです。もちろん、皆さんの生活の中でトコトン追い込む必要はありませんが、生活の中での健康づくりに大きく役立つものとして、柔らかい日差しと風を浴びながら、季節の匂いを探しに自転車で出かけてみませんか。

・浅田顕(あさだあきら)
東京都出身。1967年生まれ。
(株)シクリズムジャポン代表取締役兼サイクルロードレースチームエキップアサダ監督兼代表。
高校卒業後、実業団選手として活躍。その後渡仏し、欧州のプロチームで活躍。
現役引退後、2007年にエキップアサダを設立。ツール・ド・フランスで活躍する新城幸也選手をはじめ数多くの有力選手を育てるなど、日本の自転車ロードレース界を代表する監督として知られている。
益田市東京オリンピック・パラリンピック自転車競技キャンプ誘致アドバイザーとしてアイルランドナショナルチームの事前キャンプ決定に導いた立役者。

問合せ先
市観光交流課五輪キャンプ誘致推進室
電話
0856-31-0342