広報おおなん(島根県邑南町)

令和5年8月号

夏といえば怪談話。暑さを少しでも忘れる一助になればと、個人的にヒヤッとした文学作品をご紹介します。
小泉八雲の「茶碗の中」は、話全体が短いので詳細は省きますが、この話そのものが得体の知れぬ怖さを感じさせます。小野不由美さんの『残穢(ざんえ)』は、知る人ぞ知るという作品で、妙にリアリティのある怪異の描写が、何かがひたひたと確実に忍び寄ってくるような錯覚に陥らせます。
夕暮れ時に、氷の入った麦茶を片手に、町立図書館で借りたホラー作品を読みふけるのも悪くありません。麦茶に入った氷が「カラン」と音がした瞬間、自分が暑さを忘れていたことに気づくかもしれませんね。
(大久保)