広報おおず(愛媛県大洲市)

2020年12月号

■幻の魚、大洲産「さつき美人」
さつき美人は、大洲産サツキマスのオリジナルブランドです。サツキマスはサケ目サケ科、降海型の魚です。川魚であるアマゴが海に下り、成長したものがサツキマスです。生息域は神奈川県以西の本州太平洋岸、四国、九州の瀬戸内海側河川の一部です。漢字では「五月鱒」と書き、春に川を遡上することが由来といわれています。アマゴよりも大きく成長し、体長は40センチメートル前後です。全身は銀色ですが、少しだけ背部に赤い小さい点があります。アマゴと比べると、大きさや模様が大幅にことなることが多く、一見すると別の魚に見えます。川で釣れることが珍しいため、幻の魚と呼ばれています。

サツキマスの旬は春とされていて、うろこは細かく取りやすく、小骨はありますが軟らかくなっています。身は朱色で軟らかくおいしいことから、市場では高値で取り引きされています。アマゴはあっさりしていて癖がないうま味が特徴ですが、サツキマスはアマゴより大きく、脂ものっているのでまた違ったおいしさやさまざまな調理法を楽しめます。

●サツキマスに育つまで
河辺町のあまごの里で育てられているアマゴは、約15センチメートルの稚魚になると長浜町漁協のいけすに移されます。そこで(株)古屋野水産代表取締役古屋野太一(こやのたいち)さんの指導により、井戸でくみあげた海水を利用し、約半年かけて40センチメートル、重さ800グラムまで成長させます。
今回は出荷時期が7月となりましたが、次回は11月に長浜町漁協のいけすに稚魚を移し、来年4月をめどに出荷していく予定です。

●サツキマスを使った料理
サツキマスを使った料理法には、煮物やムニエル、焼き物、刺身、揚げ物、汁物などがあります。
サツキマスの身はトロのような味わいです。小骨も少なく、臭みもほとんどないため刺身でも食べやすくなっています。

●サツキマスは神経質な魚
「来年は数を増やして挑戦したい」と古屋野さんは意気込みます。
古屋野さんは、全国でサーモンのブランド化が進んでいる状況を踏まえ、サツキマスを養殖してはどうかと考えました。そこで、大洲市内で養殖を完結させるため、あまごの里で卵から育てられているアマゴを使うことを決めました。それに伴い、地下海水をくみ上げた水槽を陸上に所有する長浜町漁協に協力を求め、2019年12月から試験養殖を始めました。

「サツキマスは水温が20度以上になってしまうと、なかなかエサを食べなくなるうえ、神経質なのでエサを変えると食べなくなります。フンを取り除く際も、ストレスを与えないように慎重に行う必要があり、とても苦労しました。しかし、養殖に成功したときは大きな喜びがありました。

サツキマスは今年7月に全て出荷されましたが、出荷数は約70匹と少なかったため来年は1000匹に増やしたいです。『さつき美人』を大洲市で充実させ、ブランド品となるように努力したいです。そして、県外からの観光客を呼び込めるようになれば嬉しいです」と今後の抱負を語りました。