広報きくち(熊本県菊池市)

令和2年11月号

【性のグラデーションは無限大】
地域人権教育指導員 末永知恵美(すえながちえみ)

■履歴書に性別欄は必要か
多くの人たちは、履歴書やアンケートなどの性別欄に何の疑問も無く、求められるままに性別を記入してきました。しかし、自分の性について本当のことが語れないまま、社会の差別や偏見の中で暮らしている人にとっては性別欄への記入は深刻な問題です。10人に1人の割合で、自分の性に関する悩みや違和感を持つ人がいるといわれています。

1月に校区人権啓発推進協議会菊池南・北ブロック合同でLGBTQをテーマに、「あるがままに生きる」と題した当事者による人権講演会を開催しました。その一部を紹介します。
「幼少期から性的な違和感を持ち、勇気を出して友だちに告白するも気持ち悪がられる。自らの命を傷つけることもたびたび。病院で「自分を大事にしてください」と言われるが、自分を大事にするということの意味が分からなかった。人から大事にされたことがなかったから、その意味すら理解できなかった。同じ悩みを抱えた人たちが数多く自らの命に別れを告げている。当事者たちよ、人に任せずに自らのことを語れ」などというメッセージが伝えられました。

参加者の感想から同じような悩みを持つ人たちがいることがわかりました。多くの講演会で同様の感想が寄せられるそうです。決して遠い世界のことではありません。タレントやスポーツ関係者の中にも、自分の性について公言している人が数多くいますが、告白することに抵抗がある人の方が多いのではないでしょうか。今まで考えたことがないという人もぜひ考えてみてください。
性的マイノリティを表す言葉に、5つの頭文字をとって組み合わせたLGBTQという言葉があります。それぞれ「L(レズビアン)女性同性愛者」「G(ゲイ)男性同性愛者」「B(バイセクシュアル)両性愛者」「T(トランスジェンダー)心と体の性不一致」「Q(クエスチョニング)自分でも不明」と分類されています。現在の社会ではそのような人が身近にいても気が付かないことが多いのです。

■世の中は変えられる
高校で性に関する授業をしたとき「誰を好きになるかは個人の自由。個人の意思を尊重する」という意見が大半を占めました。印象的だったのは「勉強不足なので偏見がある。これから勉強して変わっていきたい」「友だちが当事者で仲良くしている」という感想や全校生徒の前で告白した生徒の存在など、自分の問題として考えて、日々を送っている生徒たちが多かったことです。このことに将来への期待を持ちました。授業の中で当事者たちが辛いこと・生きにくい状況は何だろうと生徒たちと考えた結果、最も厳しいのは差別や偏見だろうという結論になりました。生きづらさの根源は人の意識です。
現在、行政や民間企業では、性別欄の記入に苦痛や不快感を抱く人たちがいることを受け止め、性別表記について見直しが進められています。当事者たちが安心して自分を語れる世の中にするために、少しずつでいいから考えていきましょう。「性のグラデーションは無限大」です。
問合せ先
人権啓発・男女共同参画推進課
電話
0968-25-7209