長野県富士見町と町内外の3企業は16日、持続可能な自治体運営などを目的とした「八ケ岳エリアにおける環境に配慮した循環型社会実現と地方創生の取り組みに関した包括連携協定」を締結した。主に町内のリゾート施設から出た自然分解する樹脂製の紙コップや容器を原料の一部にした堆肥で作物を育て、レストランの食材などに活用する循環型の取り組み。環境面の配慮をアピールすることで、環境保全意識が高い訪日外国人観光客などの誘致も視野に入れる。

 協定を結んだのは、町と三菱ケミカル(東京)、FOOD AGRI NEXT LAB(山梨県北杜市)、富士見パノラマリゾート(同町)の4者。今後、地域課題の解決に向けた研究や人材育成、環境負荷低減を推進する。

 すでに4者は昨年から本格的に自然分解する容器や同リゾートから出る食品残渣(ざんさ)、落ち葉などを原料に堆肥作りを実施。町内の企業に提供し、トマトやニンジンの栽培に役立てている。同リゾートによると、将来的には「年間10トンの堆肥を生産し、作物増産に生かす」という。

 三菱ケミカルは、トウモロコシなどの植物性由来で、自然界の微生物により分解する樹脂を紙コップや包装の製造メーカーに提供する。同社によると、紙コップは微生物や堆肥化する際の発熱により「3〜4カ月で分解されて堆肥になる」という。

 町役場で行った調印式で名取重治町長は「町の持続可能性や環境保全社会の実現が重要。今回の協定では環境負荷の低減を図り、富士見町が国内外から選ばれる地域や観光地を目指したい」と述べた。