長野県飯島町で農業用ドローンの販売から作業メンテナンスを手掛けるシステム開発の「wave」は、小型無人機ドローンを使った稲作の実証実験に取り組んでいる。同町岩間にある同社隣接の水田で、鉄コーティングという特殊加工の種もみや除草剤などをドローンで直接まき、その後も特殊なカメラなどを使いながら空撮して生育調査を続ける。片桐剛社長(46)は「農家の皆さんのコスト抑制や省力化につながれば」と期待する。

 waveでは3年ほど前からドローンの活用を含めスマート農業のサポートに力を入れている。昨年からはドローンによる直播栽培の実証実験を始め、通常の栽培と変わらず刈り込みもできるなど、手応えをつかんでいる。

 直播栽培はかつて、まいた種もみが鳥に食べられてしまうなど欠点があったが近年は、コーティングされたものが開発されるなど技術が進歩。苗床を作る手間暇もなくなるとして注目される。

 先週末に30アールほどの水田で行った実証実験では、従来の機械で田植えに1時間ほどかかるところ、ドローンでは5分ほどで直播が完了した。

 「力仕事ではないので、ドローンの操縦や見張りなどでさらなる女性活躍の場にもなるはず」と片桐社長。「農業の現場でもいろいろな用途でドローンは活用できるので、可能性はもっと広がるはず」と説明する。

 収穫まで続くこの実験でも、光合成の違いなどを判断できるスペクトルカメラで空撮し、生育状況を可視化。育ちが悪い場所にピンポイントで施肥などする。片桐社長は「育つことは確認しているので、あとは収量を安定させること」と話した。