佐世保高専の新しい校長に、博士(工学)の下田貞幸氏(59)が就任した。来年度には初めてとなる大規模な改組を控える。全学科で情報系の教育課程を充実させる狙いや目指す学校の方向性などについて聞いた。

 −抱負を。
 日本一、学生が幸せな学校にしたい。学校現場での「幸せ」とは、学生一人一人が目標に向かって努力し、達成感や満足感を高めることだと考えている。学生みんなが目標を達成して卒業していけるよう、学校を運営する立場からも後押ししていきたい。

 −来年度から情報系に特化した学科を新設するなどの改組を予定している。
 現在の「電子制御工学科」を、人工知能(AI)など情報系に特化した「情報知能工学科」に改組する。機械工学科、電気電子工学科、物質工学科の3学科についても、専門的な学びに情報系をプラスする。

 −改組の狙いは。
 私たちを取り巻く社会は目まぐるしく変化し、ものすごいスピードで発展している。高等教育機関として、社会の状況をしっかり把握し、即応しながら学生を育てていくのが使命。従来の形でも対応できたとは思うが、日本全体を引っ張るぐらいのつもりでやっていくために踏み切った。これほど大きな改組は開校62年の歴史で初めてのことだ。
 高度な情報専門人材を育成する国の事業に採択され、この事業で来年度から情報系の教育を充実させるのは九州で佐世保高専だけ。全国でも五つの高専しかない。国内の情報系人材は足りておらず、佐世保高専として日本の将来に貢献したい。新たな選抜方法を導入して募集定員も増やす。情報系に強い人材育成は、佐世保高専の売りになるはずだ。

 −高専の強みは。
 中学卒業後から5年間のスパンで、専門的な教育を始められるのは利点の一つ。高専は一般的な高校と異なり、大学入試のための勉強はしない。専門知識の習得に加え実習、実験を繰り返して自分の将来のための専門性を高めることができる。

 −学生に求めることは。
 時代が多様化している中で、狭い範囲の学習や人間関係だけではこれから先の時代は難しいと思う。視野を広げ、いろんな知識を吸収しながら自分の柱を育ててほしい。

 【略歴】しもだ・さだゆき 熊本県出身。熊本大大学院工学研究科環境建設工学専攻修了。熊本高専副校長、独立行政法人国立高専機構本部事務局学務総括参事などを歴任。4月1日付で佐世保高専校長に就任した。専門は建築設計。