長崎市立横尾中(鈴木和彦校長)の3年生約30人が2日、核兵器を持つ国や持たない国の政治家になりきり、戦争のない平和な世界をつくる方法をワークショップで考えた。架空の6カ国に分かれ、質疑や政策提案をする“国際会議”を疑似体験。「同盟を組み核兵器を減らす」「核被害の恐ろしさを伝える」など、現実の国際社会にも通じる解決策が導き出された。

 講師は長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の中村桂子准教授。生徒は▽対立する核保有国2カ国▽それぞれの核保有国に守られる2カ国▽かつて核実験被害に遭った国▽一度開発した核兵器を手放した国−の6カ国に分かれ、過半数の賛成を得られそうな政策を考えた。
 質疑で、特に核保有国2カ国への質問が集中。「核開発費用を国の発展に使えばいいのでは」「両国が仲良くする条件は」といった質問で、保有国側は「国を守るために核兵器は手放せない」「互いに核兵器を減らすなら仲良くなれる」などと答えた。
 それぞれの国の立場で、平和を実現する策を考案。核保有国間で核兵器を削減する同盟を組む案や、核被害を世界に伝える案が4カ国以上の賛成で“採択”された。それ以外に「各国の市民同士で集まり反戦の意欲を高める」「経済関係を強めて核兵器を減らす」といった提案もあった。
 今回の国際会議は、実在の国や実際の世界情勢がモデル。中村准教授は「国同士の対立を放置すれば核戦争になる可能性があるが、実際の国際会議でも正解はなく、各国が解決策を見いだせずにもがいている。皆さんが答えをつくっていってほしい」と呼びかけた。
 核保有国の大統領役を務めた茶谷尚輝さん(15)は「核兵器を使えば世界を敵に回すので、戦争をせずに経済発展ができる方法を考えた。核兵器の脅威を、周りの人にどう伝えるか考え続けたい」と語った。