こんにちは。
インテリアアドバイザーアダチツヨシです。
今回は、これまでお話ししてきた椅子との相性診断についての最終回です。

日常何となく使っている椅子は、相性の良さによって作業の効率を左右したり、体調にも影響を及ぼすことだってあります。
身近な家具だからこそ目を向けてやる、そんな参考にしていただければと思います。

まずはおさらいから。

椅子と自分の相性をはかる3つのポイント

①背もたれのあたり心地(→前々回の記事)
②お尻のフィット感(→前回の記事)
③大腿部のあたり具合と足裏の接地具合

欠かせない条件“座面の高さ”

相性をはかる3つ目のポイント、「大腿部のあたり具合と足裏の接地具合」についてです。

前回、少し「人間工学」のお話をさせていただきました。
「人間工学」とは、人間が自然な動きができるように物や環境をデザインする学問です。
家具デザインにおいては、人体寸法の計測や作業姿勢、生活にまつわる持ち物のサイズなどの分析が反映されています。

そんなところから導き出された、椅子を選ぶ際の基準となる数値をご紹介します。

まず、適正な椅子の座面の高さは、図の「下腿高」という高さをもとに、そこからマイナス1cmと一般的に言われています。

例えば身長が170cmの人の場合、[170cm×0.25(身長の1/4)−1cm=41.5cm]となります。
もちろんお好みに個人差はあるので、あくまでも目安の数値です。

適正な高さと合っていない高さ

適正な高さであれば体圧が均等に分散されるため、極度な負荷がかかりにくくなります。

一方で、座面が高すぎる場合は、太ももの裏に負荷がかかりやすくなるため、ももの裏あたりが痛くなるなどの症状に繋がることがあります。

また、逆に低すぎる場合は、座骨結節点(※)に負荷がかかりやすくなるため、お尻が痛くなるなどの症状に繋がったりします。
(※座骨結節点・・・お尻に両手のひらを当てたまま座ったときに感じる、お尻の先端の骨部分)

足裏と床の設置具合

椅子の高さを選ぶ際に、「地面に足裏がしっかりとつくかどうか」は誰でも認識しやすい相性です。
なので、すでにそのポイントを基準に椅子選びをされている方もいらっしゃると思います。
つかない状態は何となく落ち着かない、バランスの不安定さを感じますよね。

実は、地面に足裏をしっかりとつけて座ることは、姿勢を正しく保って身体への負担を軽減するためにも必要なことであり、また、血行の促進にもつながると言われています。
「座る」という動作が、いかに健康面にも影響を与えるかがわかりますね。
小さなお子さんに足置き板のついた椅子を用意するのも、実は理にかなっていることなのです。

さて、全3回に渡って椅子との相性についてお話をさせていただきましたが、椅子への興味は深まったでしょうか?

身近な家具を単なる“使う”ではなく、“付き合っていく”という意識で触れてもらうと、きっと暮らしへの意識も変わってくることでしょう。
みなさんがより楽しく「もの」と付き合える、そんなヒントをこれからも発信できればと思います。

日常の暮らしに関するお悩み事など、些細なことでもインテリアコーディネーターへお気軽にご相談を。
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著者:アダチツヨシ