コンゴのエボラ流行が収束せず、史上第2の規模に

コンゴのエボラ流行が収束せず、史上第2の規模に

「短中期的にエボラの流行を収束させられるとは、まったく思えません。あらゆる情報が、これは長引くだろうということを示しています」。米国ジョージタウン大学のWHO公衆衛生法・人権共同研究センター所長、ローレンス・ゴスティン氏はそう話す。「問題は、地域住民の不信感が根強いことと、暴力が急増していること、そしてそれらを乗り越えるためのきちんとした計画がないことです。これではエボラ症例は増え続けますし、国際的に広がる可能性さえあります」

 エボラは治療が遅れるほど、死亡や感染拡大のリスクが高まる。「治療が有効なのは、一定の時間内に行った場合のみです。遅すぎた場合、治療を受けたとしても患者は亡くなります。そうすると、みんな(治療を)信用しなくなってしまいます」と国際NGO「国境なき医師団」の緊急援助コーディネーターであるナタリー・ロバーツ氏は話す。

9カ月間で、最初の火種は大火事に

 流行の火がくすぶり始めたのは、コンゴ北東部で症例が出始めた2018年の夏である。エボラがこの地域で発生したのは今回で10度目。前回までと同様、未だ特定されていない自然宿主から出たウイルスが、人間に広まった。エボラの名の由来は、1976年に初の発生地となった場所の近くを流れる、コンゴのエボラ川だ。細胞の中へ入り込んだウイルスは、自らのコピーを大量生産したうえ、組織のつながりや血管を破壊して、臓器不全や出血を起こし、体を内側から壊してしまう。

 とはいえエボラウイルスは、さほど簡単には感染しない。患者の体液や組織に接触することで感染するが、このときウイルスは、皮膚にできた傷か、目や鼻などの粘膜を通る必要がある。

「エボラの感染力は、世界一というわけではありません」とロバーツ氏は話す。「致死率は高いのですが、感染しやすいわけではないのです」

 にもかかわらず、過去9カ月間で、最初の火種は大火事となった。3つのエボラ流行地域では大統領選挙が延期された。それに、国境なき医師団、WHO、米国疾病管理予防センター(CDC)が、北キブ州とイトゥリ州に緊急支援チームを送り込む事態となっている。

 だが、流行を食い止める努力は、外国人からの援助を受け入れたがらない地元の人々の抵抗によっても妨げられている。その一因は、内戦で疲弊した地域における不信だ。いくつかの都市では、市民がエボラ治療センターを狙った襲撃事件さえ発生している。2月27日にブテンボで発生した襲撃では、国境なき医師団の施設がほぼ全焼し、多くの緊急支援チームが一時避難へと追いやられた。現在、医療従事者たちは少しずつ戻り始めている。

「過去1カ月間に、CDCスタッフが現地でカバーするエリアを拡大しました」と話すのは、CDCでエボラ対策を率いる一人、インガー・デイモン氏だ。「これまで最も感染がひどい地域に入りこめていなかったので、今は現場のチームと一緒にデータを丹念に分析して、どこに努力を投入すべきかを見極めることに集中しています」

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