フロリダパンサーはかつて米国南東部に広く分布していたが、狩猟が原因で絶滅寸前に追い込まれ、1970年代までに30頭足らずとなった。その後、個体数を大幅に回復し、約200頭に到達したが、その未来は依然として危ういままだ。

 このような状況だからこそ、科学者たちは新たに発見された神経疾患について懸念している。フロリダパンサーとボブキャットの四肢が弱り、重症の場合、部分的なまひを引き起こす病気だ。しばしば歩行が困難になり、その結果、飢えて死に至ることもある。ネコ白質脊髄症(FLM)と呼ばれるこの病気は3頭のフロリダパンサーで確認されているが、2017年春以降、フロリダ州で少なくとも19頭のフロリダパンサーと18頭のボブキャットが発症した可能性が高い。

 フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWC)でパンサーチームのリーダーを務めるダレル・ランド氏によれば、病気の原因は不明だという。

「まだ決定的な証拠がなく、少し不安を感じています。もし単純な答えが存在すれば、すでに見つかっているはずだからです」

 現在のところ、神経毒が病気を引き起こしているという説が有力だ。ウイルスなどの病原体が原因の可能性もあるが、それほど有力ではないと考えられている。栄養不足と神経毒など、複合的な要因の可能性もある。少なくとも2種のネコ科動物に症状が見られるため、親から子へと受け継がれる遺伝性の疾患ではない。

 FWCで野生動物の獣医師として働くマーク・カニンガム氏によれば、神経細胞の損傷を特徴とするこの病気は子供時代に発症し、通常、悪化も回復もしないのではないかと考えられている。一部の地域では、かなりの割合の子供が病気にかかっている。

 この病気の研究はFWCの緊急課題になっているとカニンガム氏は話す。さまざまな組織や研究機関、カメラトラップ(自動撮影装置)を所有する写真家などの民間人が協力し、原因究明を急いでいるという。

 フロリダパンサーはすでに、車との衝突、限られた縄張りを巡る激しい争い、土地開発といった脅威にさらされている。もし新しい病気が「このままのレベルで続けば、十中八九、個体数に影響が出るでしょう」

「野生動物では前例のない出来事です。少なくともネコ科動物では」とカニンガム氏は補足する。

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