従来の新型コロナウイルスより致死リスクも感染力も高い変異株の割合が、日本国内で増え始めている。4月7日の国立感染症研究所の発表によれば、なかでも大半を占めるのが英国で最初に報告された「B.1.1.7(VOC-202012/01)」変異株で、特に関西圏で増加傾向だ。

 奇しくも同じ日にホワイトハウスが行った記者会見でも、この変異株が現在米国で最も優勢と発表され、急激な拡大に感染症学者らが警戒を強めている。

「B.1.1.7株の登場によって状況は一変しました」と、米感染症研究政策センター所長で感染症学者のマイケル・オスターホルム氏はいう。パンデミック(世界的大流行)の初期には、新型コロナウイルスに感染する子どもの数はさほど多くなく、ほかの年齢層に対する大きな感染源とはなっていないようだった。しかし、「現在は、学校や学校関連の活動において数多くの感染が起こっています」

 1月4日付けで論文投稿サーバー「medRxiv」に発表された、英国で行われた研究によると、B.1.1.7の場合、ほかの変異株より20歳未満の感染者の割合が高かった。これと同じことが現在、米国で起こりつつある。

 ミネソタ州カーバー郡で急速に拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、学校が主催する活動やクラブ活動に関連している。ミネソタ州保健局が行った調査では、この症例全体のうち、B.1.1.7変異株がすでにおよそ4分の1を占めていた。同様の流行はウィスコンシン州でも報告されており、デーン郡の保育所で陽性が確認された子どもたちは、全員が6歳以下だった。

 この現象の数少ないプラスの面を挙げるとすれば、イングランド公衆衛生局(PHE)が1月に発表した変異株の調査結果において、年齢の低い子どもたちは大人に比べて、ウイルスをほかの人たちに感染させる可能性が低いと示唆されていることだ。

 また、3月11日付で学術誌「Nature」に発表された論文によれば、現在米国で認可されているワクチンはB.1.1.7株に対して有効であり、人々が現行の対策や規制を今後も守っていけば、パンデミックを抑える一助になると見込まれる。

「まだワクチンを接種する理由が十分でないと考えている人に伝えたいのは、これこそがその理由だということです」と、バンダービルト大学医療センターの感染症学教授ウィリアム・シャフナー氏は言う。「この株は感染力が強いだけでなく、感染した場合に重症化する割合も高く、われわれの懸念はそこにあります」

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