私たち人類は昔からヒマワリを栽培し、その種を食べたり、その油を調理に使ったりしてきた。だが、栽培地の気候が変化しているのは明らかだと、米国農務省の遺伝学者でヒマワリの専門家であるブレント・ハルク氏は言う。

 ハルク氏はここノースダコタ州で、ヒマワリの病気への耐性を高めたり、ビタミンEの含有量を増やしたり、脂肪酸組成をより健康的なものに変えたりなどの品種改良に従事してきた。さらにこの地で、ヒマワリを気候変動に適応させることができるかもしれない。

「降水量が増加傾向にあることは否定できません」とハルク氏は言う。「気候変動を信じているかどうかは関係ありません。農家の人たちは、自分が子供だった頃よりも雨が多いことを知っているのです」

 降水量が増えたのは、温かくなった大気がより多くの水蒸気を保持するようになった結果だ。降水量が増えると病気が蔓延しやすくなるため、新しい品種の開発が急務となる。グレートプレーンズ(北米中央部の大草原地帯)の農家が直面するのは雨や洪水だけではない。気候変動によって、より激しい干ばつも発生するだろう。

 通常、ヒマワリの根はトウモロコシやダイズの根の2倍ほどの深さまで伸びる(2.7m以上になることもある)。ほかの作物よりも多くの水を得られるので、生き延びることができる。しかし、生育環境が頻繁に変わり続けば、ヒマワリはより厳しい環境に耐えることが求められる。

「植物育種家として、私たちは気候変動に注目しています。気候変動に今から備えなければなりません」と、ハルク氏は語る。

 不確実な未来に備えるため、研究者はヒマワリの野生の祖先種と、そのDNAに閉じ込められた進化上の利点を守ろうとしている。人間は、オオカミからイヌを作り出したように、湿地帯から砂漠までのさまざまな環境で育つ野生種から、トウモロコシ、コムギ、ヒマワリなどの作物を作り出してきた。

 米国農務省は、ヒマワリ属の63の種と亜種のサンプルを2000点以上も遺伝子バンクに保管しているが、科学者たちは、ますます予測不能になってゆく気候の中でヒマワリの生産量を維持できるように品種改良を進めるためには、野生のヒマワリが生育する環境を早急に保護する必要があると指摘している。

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