世界で最も古く、影響力も強かった宗教のひとつであるゾロアスター教は、7世紀まで盛んに信仰されていた。今も信仰が続くゾロアスター教に関する興味深い6つの事実を紹介する。

世界最古の一神教の可能性

 唯一の最高神を信じる宗教は、ゾロアスター教が初かもしれない。一神教の世界観はのちにユダヤ教、キリスト教、イスラム教に深い影響を与えた。伝承によれば、紀元前1700〜1000年頃に中央アジアにいた開祖のザラスシュトラ(「ゾロアスター」のギリシャ語)に、最高神のアフラ・マズダーが啓示を授けたとされる。

世界最大の宗教だった

 ゾロアスター教はそもそも世界最古にして最大の帝国の一つであるアケメネス朝ペルシャに保護されていた。だが今では、世界で計10万人足らずの信者が残っているだけだ。

アレクサンドロス大王が聖典を破壊した

 最高神アフラ・マズダーの教えは、21巻の聖典『アベスタ』に記されていたが、言い伝えによると、紀元前330年にアレクサンドロス大王がペルシャ帝国を滅ぼした際に、大半が失われた。1巻だけが完全な形で残ったものの、祈りや歌としてその多くを信者が今に伝えている。

イヌは親友

 イヌは信じられないような精神的な価値と結びつけられており、手厚く世話をしなければならない。イヌを害した場合には厳しい罰が待っている。信者が死ぬと、魂はイヌが案内すると信じられている。

1000年以上燃え続けている神聖なる火がある

 ゾロアスター教にとって火は神聖なものであり、100年から1000年も火を絶やさない拝火神殿がある。イラン、ヤズドの拝火神殿の日は5世紀から燃え続けていると信じられている。

水と土と火を汚さない葬儀

 ゾロアスター教では、水と土と火を汚さないよう、死者を山頂や「ダクマ」(沈黙の塔)に安置し、猛きん類などの動物がその肉を食べるように行われる葬儀がある。信者が何千年も続けてきた「曝葬(ばくそう)」の慣行だ。