父親になることは健康に良い、より幸せで長生きに、科学の教え
ナショナル ジオグラフィック日本版6/15(日)10:00

父親になることは健康に良い、より幸せで長生きに、科学の教え
ポジティブな気持ちを抱くことの恩恵を支持する研究として、ネルソン・コフィー氏らが2024年に学術誌「Emotion」に発表した論文で示したように、子をもつ親が抱く感謝の気持ちは「その後の人生の満足感が高まり、否定的な感情がより少なくなることの指標となります」と氏は話す。
ゲトラー氏は、さらに別の関連論文で「パートナーがいて子どもと一緒に住んでいる父親は、子どもがいない独身男性よりもうつになる傾向が低い」ことが示されていると指摘する。
これは、父親が子どもの世話をしているときに頻繁に幸福感を感じたり、家族の経済的な必要を満たしたときに満足感を覚えたりする傾向と関係しているのだろうという。
子どものおかげで知り合いが増える
父親は、子どものおかげで多くの新しい社交の機会も得られる。子ども中心のスポーツ参加、学校の保護者会、子どもの友だちの親とのやりとり、ボーイスカウトやガールスカウトなど、ほかの大人と出会う場面が増えるからだ。
このような機会は、特に一家で新しい町に引っ越したときにありがたいと、米テキサス大学オースティン校で人間開発と家族科学を教える教授のカレン・フィンガーマン氏は話す。
ネルソン・コフィー氏による子育て研究でも、子どもがいる男性の方が、いない男性よりも多くの社会的なつながりを感じていると示されている。ほかの人とのつながりを感じるとき、「男性は孤独を感じることが少なくなります。孤独感は、うつ病などの心の問題を引き起こす大きなリスク要因です」と氏は話す。
体の健康
心の健康や社交への利点だけでなく、父親は、体の健康でも多くの恩恵にあずかることができる。2020年10月に学術誌「Journal of Marriage and Family」に発表された論文によると、父親は薬物を避け、たばこやアルコールなど体に害のある習慣もやめる傾向にあるという。
その理由の一つは、「小さな子どもがいると、人生で最も重要なことは何かを考え、それを優先させようとするからです」と、米テンプル大学社会福祉学部の名誉教授で、「父親研究と実践ネットワーク」の元共同運営者のジェイ・フェイガン氏は言う。
「問題行動や事故を起こしたり、刑事司法の世話になったりする確率も減ります」
ほかにも、子どもに手本を示すために自分自身の食生活を改善させたり、子どもと一緒に遊んで体をよく動かすようになったりする。こうした親子の交流は、父親にとっても子どもにとってもメリットがある。
特に欧米では、父親になると体重が増えて「お父さん体形」になりやすいことは研究で示されている。だが、その傾向が見られなかった2024年のフィリピンの研究が示すように、体形の変化には親になるかどうかよりも文化的な要素が働いている可能性もある。
体重が増えてしまうのは、父親になりたての頃は睡眠不足や運動不足になりやすいからかもしれない。その状況は子どもが成長するにつれて変わるものであり、また子どものおかげで生活が改善することも多いと、ネルソン・コフィー氏は言う。
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