【動画】ハーレーダビッドソンが「太陽光燃料」で走った、世界初

ナショナル ジオグラフィック日本版6/12(木)8:00

【動画】ハーレーダビッドソンが「太陽光燃料」で走った、世界初

【動画】ハーレーダビッドソンが「太陽光燃料」で走った、世界初

「重要な節目」と研究者

 これらはすべて紙の上では素晴らしいことのように思えるが、実際にやってみなければわからない。DAWN工場は2024年の夏の終わり頃から稼働している。ルフトハンザ・グループやチューリッヒ空港などの顧客向けに燃料を開発する契約を結んでいるシンヘリオン社にとって、実地試験に勝るものはない。

 2024年後半までに、シンヘリオン社はその燃料を使って走行試験を行う準備が整った。

 そこで登場したのが、シュタインフェルト氏と愛車のハーレーダビッドソンだ。

 スイス連邦工科大学チューリッヒ校機械・プロセス工学科の教授であるシュタインフェルト氏は、フーラー氏の博士課程時代の指導教員であり、その間に二人は太陽光燃料を作る構想を練り始めた。

 2014年、シュタインフェルト氏の指導の下、フーラー氏とほかの博士課程の学生たちは、実験室で太陽光と水、二酸化炭素から試験管一本分ほどの太陽光燃料を作ることに成功した。ごく小さな規模で太陽光燃料を生産できることを実証したのだ。

「多大な労力を使って、おそらく世界一高価なケロシンができました」とフーラー氏は2024年、ナショナル ジオグラフィックに冗談まじりに語った。

 2016年、フーラー氏、シュタインフェルト氏、ジャンルカ・アンブロセッティ氏はシンヘリオン社を設立し、2019年にはチューリッヒ中心部での小規模実証プロジェクトでカーボンニュートラル(炭素排出量が実質ゼロ)な燃料を作り出した。

 彼らの目標は、2030年までに年間11万トン、2033年までに約100万トンの燃料を生産することだ。これは現在年間で消費されている約3億8500万トンのジェット燃料だけと比べても大幅に少ない。しかし、シンヘリオン社は2040年までにヨーロッパでの合成航空燃料の需要の約半分を供給することを目指している(合成燃料の開発は他にもいくつかの企業がさまざまな段階で進めている)。

「今回の歴史的なデモンストレーションは重要な節目であり、水と二酸化炭素から持続可能な燃料を史上初めて産業規模で生産したことを示すものです」と、米フロリダ大学の機械工学者であるジョナサン・シェフ氏は語る。なお、氏はこの太陽光燃料の研究には関与していない。

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