好みのダイバーを色で見分ける魚たち、初めて野生で能力を実証
ナショナル ジオグラフィック日本版6/20(金)8:00

好みのダイバーを色で見分ける魚たち、初めて野生で能力を実証
魚たちが個々のダイバーを装備の色で見分けられることを示唆する研究が、2月19日付けで学術誌「Biology Letters」に発表された。これは人間のダイバーも同じだ。顔や体が装備で隠れている場合、色で互いを認識することが多い。
ドイツにあるマックス・プランク動物行動研究所の行動進化研究室を率いるアレックス・ジョーダン氏は、20年近くにわたって野生の魚類を研究するなかで、研究対象の魚がジョーダン氏や同僚を認識し、付いてくるようになったと感じることがあった。
「魚が私たちを認識しているとはっきりわかったことが何度もあります」とジョーダン氏は振り返る。
科学者たちは直観的にそう感じていたようだが、この現象を野生で調べた研究は存在しなかった。
「(魚は)私たちが考えているよりずっと複雑な生き物です」と英オックスフォード大学の海洋生物学者ケイト・ニューポート氏は話す。氏は今回の研究に参加していない。
どんな実験で確かめた?
ジョーダン氏らは自分たちの直観を確かめるため、地中海にあるフランス領のコルシカ島を訪れ、2種の魚を対象に実験を始めた。地中海でよく見られるタイ科のサドルドシーブリーム(Oblada melanura)とメジナモドキ(Spondyliosoma cantharus)だ。研究チームは1カ月にわたって水深4〜8メートルのダイビングを30回以上行った。
第1段階として、ジョーダン氏の研究室に所属するカティンカ・ソラー氏が12日間で23回のダイビングを行い、自分の後を付いてくるよう魚を訓練した。
ソラー氏はカラフルなベストを着て、5分間その場にとどまり、魚たちにエビの切り身を与えた。その後、50メートルほどまっすぐ泳ぎ、付いてきた魚に餌を与えた。10回のダイビングを終えた後、氏は魚に餌を与えたりカラフルなベストを着たりするのを徐々にやめていった。訓練が終わる段階では、平均13匹の魚がソラー氏に付いてきた。
魚が特定のダイバーを認識しているのか、単にダイバー全般を追跡しているだけなのかを確かめるため、研究チームは別の実験を行った。ソラー氏と、ジョーダン氏の研究室に所属する博士課程の学生メラン・トマセク氏が異なる色の装備で海に入り、3分間同じ場所にとどまった後、反対方向に泳いだ。
50メートルほど泳いだ後、一人は魚に餌を与えたが、もう一人は与えなかった。10日間で5回のダイビングを行った。
この実験の初日、魚たちは両方のダイバーに付いていったが、徐々に餌をくれるダイバーに付いていくようになった。これは、魚たちが2人のダイバーを区別できるようになったことを示唆している。
最後の実験では、2人のダイバーが同じスーツを着て同じことを行った。
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