謎の人類デニソワ人の顔がついに明らかに、実は「竜人」だった
ナショナル ジオグラフィック日本版6/20(金)16:30

謎の人類デニソワ人の顔がついに明らかに、実は「竜人」だった
2021年の夏、5人の中国人研究者からなるチームが、1933年に中国北東部で発掘された風変わりな頭骨は未知の古人類のものと主張し、論争を巻き起こした。彼らはこの古人類に、頭骨が発見された黒竜江省の竜江(Long Jiang)県にちなんで「ホモ・ロンギ(Homo Longi)」と命名し、「竜人(Dragon Man)」という愛称で呼んだ。そしてこのたび、2025年6月18日付けの学術誌「サイエンス」と同日付けの「セル」に、竜人はデニソワ人である可能性が高いと結論づける論文が発表された。
論文の著者は、北京の中国科学院古脊椎動物・古人類学研究所のフー・チャオメイ氏と、河北地質大学のチアン・ジー氏ら。フー氏は、シベリアのデニソワ洞窟で発見された小さな指の骨のDNAを2010年に調べ、「デニソワ人」というヒト集団の存在を初めて明らかにした古遺伝学研究者だ。チアン氏は、竜人に関する最初の論文の著者だ。
「ハルビンの頭骨」とも呼ばれる竜人の頭骨が、科学者が知る唯一のデニソワ人の頭骨となったのだから、ビッグニュースだ。「15年の歳月を経て、私たちはデニソワ人の顔を手に入れました」とフー氏は言う。「本当に特別な気分で、これ以上ないほど幸せです」
デニソワ人は幅が広くて縦に短い顔をしており、突出した眉弓(びきゅう、目の上の骨の隆起部)などの原始的な特徴と、繊細な頬骨や比較的平らな下顔面などの現代的な特徴をあわせ持っている。頭骨の大きさから、体も非常に大きく、おそらく中国東北部の厳しい冬から身を守るのに役立ったと考えられている。
この発見は、古代のヒト族(ホミニン)と、彼らが住んでいた世界についての理解を深める扉を開くものだ。
「保存状態の良い頭骨が手に入ったことで、デニソワ人と、各地で発見されたさまざまな標本とを比較することが可能になります」と、カナダ、トロント大学の古人類学者であるベンス・ビオラ氏は言う。「例えば、彼らの体のプロポーションを比較して、気候への適応について考えはじめられるかもしれません」。なお、ビオラ氏は今回の研究には参加していない。
発見を裏付けた歯石
竜人の頭骨は14万6000年以上前のもので非常に古く、フー氏は歯からも錐体骨(すいたいこつ、頭骨の中でも密度が高くDNAが最後まで残ると考えられている内耳に近い部位)からもDNAを見つけられなかった。
それでも95種類のタンパク質を抽出でき、そのうちの3種類からデニソワ人に由来するアミノ酸変異が見つかった。フー氏はさらに歯に付着した歯石も調べたところ、細菌ではなく宿主のミトコンドリアDNAを分離でき、ここでもデニソワ人に特有の変異が見つかった。
次ページ:デニソワ人を竜人と呼ぶべきなのだろうか?
- 1
- 2











